(アーユルヴェーダ・サロンを立ち上げる際に)
アーユルヴェーダ・サロンにも色々な形がある。
自分がその中の一つであるサロンオーナーになるためには、ただ漠然と行き当たりばったりで事業を始めるのは良くない。
それにはまず、自分のやりたいこと、やるべきことをより明確にすることが必要だ。
そして、その存在価値をお客様に提供することで利益を上げることが求められるのだ。
インドのアーユルヴェーダ大学の病院に行くと、治療費は無料であるという。
また、アーユルヴェーダは、キッチン・ファーマシーともいわれて、安価で健康になるのが魅力的だと考えている人も多いかと思う。
だがひとたび、日本でサロンを立ち上げるのなら、ビジネスとして成功させなければいけない。
これはボランテイアではないのだ。
私は、アーユルヴェーダ事業のための「アユス」という会社を立ち上げ試行錯誤を重ねる中、アーユルヴェーダ・サロンのミッションを以下のように作り上げた。
「私たちは『自分』を持ったクライアントへの特別なアプローチを探求し、クライアント本来の生命力と美を引き出すプロのビューティ・セラピストです」
「私たちは、自然の力と共に、活動の源となるやすらぎを創り続けます」
これは、本当に何も知らない第三者に宛ててのメッセージとして作成した。
サロンのターゲットとなるべき人は自立した女性。
その自立した女性に自らの意思で選んでサロンに来ていただくということを念頭においた。
ターゲットは若い人から御年寄りまでの幅広い年齢層というのではなく、とても狭いかもしれないが「永続的なリピーターになっていただける可能性のあるお客様」というのをイメージしたのだ。
私はこの頃、あるプレス関係者の方から「西田さんの商売はマスには向きませんねぇ」と批判されていた。
おっしゃる通り、私は、一人一人のお客様に対して、丁寧に、できることを全て精一杯行いたいと考えていた。
これを実現するには、こちら側からの画一的なトリートメントの押し付けではなく、お客様に合わせた、お客様の意向をくみ取ってのトリートメントの構築が必要だ。
元来、アーユルヴェーダとはそういうのものではないか。
来ていただいた方のためだけの「特別なアプローチ」というのは、バラエティにとんだアーユルヴェーダ・プログラムの中から、お客様に合わせてカスタマイズする特別なアプローチだ。
「生命力」と「美」を引き出すという言葉を使ったのは、あくまでも主体はお客様であり、お客様が持っている本来の自然治癒力を引き出すのがセラピストの仕事であると思っている。
ミッション最後の言葉の「やすらぎを創り続ける」では、創って終わりというのではなく、創り続け進化していくというのにこだわった表現を使った。
アーユルヴェーダは言ってみれば古典である。
しかし、何千年前の知識が、時代を超えてなお、今の人々の役に立っているのがすごいところだ。
それは昔のままの知識というより、私たちが、今の時代に融合するように上手に使って進化して行くべきだと思う。
アーユルヴェーダは現実的に役に立たなければ、過去の遺産になってしまう。
が、アーユルヴェーダは不朽である。
私なりにアーユルヴェーダと向き合って来て、日々そのプロダクツの素晴らしさや、技術の深さに驚くと同時に新しい発見がある。
今では、私たちの健康と美になくてはならないものであり、いつの間にか、サロンのリピーターは全員アーユルヴェーダ・トリートメントの愛好家になってしまったのだ。
20年ほど前は、「アーユルヴェーダ」というワードはメジャーではなく、むしろ怪しげな新興宗教などの影響を受け、それほど良いイメージではなかったように思う。
なにせヨガをやるのもはばかられた時代だった。
当時、私は、アーユルヴェーダ・トリートメントには、インディアン・ビューティなどという名前をつけてオブラートに包むように売っていた。
サロンに来てくださっていたお客様は、皆自分はエステに通っているという感覚だったと思う。
でもそこでやることは、正真正銘、生粋のアーユルヴェーダであり、オイルも南インド直輸入。
日本人に受け入れやすい形にはしたが、できるだけ現地のやり方を再現したのであった。
アーユルヴェーダ・サロンの立ち上げにあたり、またすでに運営をしている皆さんも、一度それぞれご自分のミッションをまとめて見ることをお勧めします。
そして、自身の考えがクリアになってから、具体的なアジェンダに沿って進めていきましょう。
【アーユルヴェーダサロンの運営「アジェンダ」】
1. サロンの環境づくり
2. トリートメント・メニューの構築
3. プロダクツ
4. 技術
5. カウンセリングとオペレーション
6. 告知・集客
7. 持続性
以上、次回からはこのアジェンダに沿って、ひとつずつ綴っていきたいと思います。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
では、また!
【コラム筆者】
アーユルヴェーダスパ・カイラリ 西田若葉さん
(アユス)
http://www.ayus.co.jp/
(アーユルヴェーダスパ・カイラリ)
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(カイラリ学院日本校・アーユルヴェーダスクール)
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