アーユルヴェーダでは、ヴァータ(空元素・風元素)・ピッタ(火元素・水元素)・カパ(水元素・地元素)という、身体の生理機能に働きかける「ドーシャ」があるとされます。
これらのドーシャは本来「病素」という意味もあり、正常な状態では身体の健康を維持し、生理機能の活動に必要なエネルギーとなりますが、一方でその力が憎悪すると、病気を生み出す原因にもなるとされます。
ドーシャは「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」の3つに分けられますが、私たちはこれら3つのドーシャを全て持ちつつ、そのバランスは人それぞれに異なります。
どのドーシャが増えやすい、つまり「憎悪」しやすいかによって、体調のバランスを崩しやすい傾向もわかり、そのためドーシャは「体質」という定義としても考えられています。
アーユルヴェーダでは、ヴァータ・ピッタ・カパという3つのドーシャに基づくものから、サンスクリット語で「3」を表す「トリ」を加え、「トリドーシャ」と呼ばれます。
アーユルヴェーダ医学では、カパが憎悪すると粘液を、ピッタが憎悪すると胆汁を、ヴァータが憎悪するとガスを発生させると考えられています。
これにより、カパの憎悪は気管支系疾患やアレルギー性鼻炎/泌尿器系疾患/肥満や糖尿病/関節炎等を、ピッタの憎悪は消化器系疾患や血液性疾患/アトピー性皮膚病/胆石や胆嚢疾患等を、ヴァータの憎悪は呼吸器系疾患/頭痛・腰痛・神経痛/精神疾患等を引き起こす原因となると、アーユルヴェーダでは考えます。
身体における全ての生理現象の基にはこれらのドーシャの働きがあるとされ、毎日の健康状態や季節によって移り変わる体調の変化、また一人ひとりによって異なる体質の差など、これらのドーシャのバランスによるものとされます。
アーユルヴェーダでは健康を「ドーシャのバランスが取れている状態」と位置付け、そのバランスが崩れると病気の状態になると考えています。