3月も半ばに向かい、春の訪れを一番最初に告げる梅の開花情報も南からゆっくり北上しています。
寒い北風にギュッと体の力が入ってしまう日ともそろそろお別れ、季節の変わり目は体調の変化も多く不調を感じることも多いですね。
体の不調は肉体面だけでなく、精神面にも影響を及ぼしてしまいます。
今回のコラムでは、心と健康についてお話ししたいと思います。
●花粉症の季節到来。
杉やヒノキは日本の山林に大変多く、花粉の飛散は何百年も続いていますが、花粉によるアレルギーに悩まされている方が年々増加しているのは何故でしょう。
一説には近代化に伴い、土や草原だった土地がアスファルトやコンクリートなどに覆われ、本来なら地面に落ちた花粉は土に吸着分解されるところ、そうならず再び風に乗り再飛散するまさに悲惨な状況になっていることが原因といわれ、さらには排気ガスや光化学スモッグなどを長期間吸引し続けることでアレルギー反応が増幅され、スギ花粉症を発症・悪化させるとも指摘されています。
そう考えてみると、悪いのは杉やヒノキの花粉ではなく、私たち人間の方なのかもしれませんよね。
私たちはもっと自然に寄り添い、それらに近い感覚を持って暮らすのがベスト。
そうする中から教わることも学ぶこともあるのですから。
植物や人間以外の動物は、意識はあってもそれを知ることができません。
ですからただ自然の流れの中に添うように順応しながら自分たちの居場所を確保しています。
生も死もすべてがごく自然な流れの中で行われ、危険や安心を嗅ぎ分け身を守っているだけです。
●意識を内面に向けてみる。
それでは、私たち個々の意識はどうでしょう。
都市化を止めることは出来なくとも、自分自身の意識を変えることは難しいことではありません。
「花粉」と聞いただけで反応してしまうというのは、脳が花粉を異物だと勘違いし、抗体がくしゃみや鼻水で体外に排泄しようとしているといいます。
つまり「花粉嫌だな、花粉症になるかも・・・くしゃみが出るかも・・・」意識がそう思うだけで脳が指令を出してしまうという過剰反応。
心当たりはありませんか?
転ばぬ先の杖とばかりに、抗アレルギー薬やステロイド、点鼻薬や点眼薬を花粉飛散の期間中投与し続けるのは重篤な場合を除き賛成できません。
いずれの治療も根治療法ではなく、あくまで対処療法だといわれていますから尚更ですね。
土がコンクリートに変わり花粉が悪者になってしまったということを踏まえて考えてみると、私たちの体もまた自然栽培の食物だけを摂取していた時代と比較すると、手軽な食生活により、なにやら怪しげな添加物を知らず知らずのうちに摂取しているようです。
昨日食べたもの、飲んだものを少し振り返ってみてください。
お手軽食材のパッケージにある食品品質表示も確認してみましょう。
●心の眼は体を育みます。
意識・心・体・環境、これらが「いのち」を支えているとアーユルヴェーダでは教えており、肉眼では見えない事柄も、意識を澄ませ心で感じることで、心の眼が見せてくれるものではないでしょうか。
カレンダーで見る季節の移り変わりだけでなく、日々の陽射しや風にもそれを感じます。
都会に暮らしていても見上げれば空という大自然や、自然の姿そのままに構成された公園や並木道もあります。
木々は言葉ではなくその姿で季節を告げてくれますし、そこに訪れる小鳥や昆虫も季節の到来を感じさせてくれます。
何気なく歩いている散歩道も、目線を変えると小さな小さな生命の育みを感じることができるのです。
生きていることの歓びやぬくもりを感じる幸せ、自然界の美しい生業を感じることのできる「心の眼」を持つことは、健康な身体を維持する秘訣です。
本当に必要なものは何か、不必要なものを日常生活に取り入れてはいないだろうか・・・立ち止まって考えてみましょう。
人と人との関係であれ自然界の営みであれ、この世界はすべて互いに影響を与えながら寄り添っている。
意識の道具「心」を鍛え正しい判断が出来るようになりたいですね。
アーユルヴェーダの治療に使われるお薬や、ボディオイルがすべて自然の産物から作られているということも、本来の人間の姿へと導いてくれる証だと思えてなりません。
サヴァサナ SARA
(群馬県伊勢崎市のアーユルヴェーダ・サロン Cava sana「サヴァサナ」/facebook)
http://www.facebook.com/Cavasana.Ayurveda.Cafe