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インド・プネにあるワゴリ・アーユルヴェーダ大学に留学中の大橋美和子さんより、現地のアーユルヴェーダ事情や生活の様子についてご紹介くださいます。
(大橋美和子さん)
薬剤師。2009年からインド・プネのワゴリ・アーユルヴェーダ大学に留学中。
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そろそろ、モンスーンに入るはずのプネ市。
なんとなく曇った空が続きますが、なかなか雨が降りません。
それでも、暑さのピークだった5月に比べると、ずいぶん涼しく感じられます。
ここ数ヶ月、最終学年の科目の一つ、外科学の臨床実習に参加しています。
大学付属病院の手術室で簡単な手術が週にいくつかあります。
アーユルヴェーダ医だけでも、簡単な手術はできますが、現代医学の医師と一緒に帝王切開や子宮摘出手術などが行われています。
ここでの大半は、現代医学の手術です。
まれに、クシャーラスートラといわれる古代からの痔の治療法などもあります。
アーユルヴェーダの古典書にも、はっきりと外科に関する記述があり、外科学の授業では、西洋医学とアーユルヴェーダの両方を学びます。
アーユルヴェーダは、学問を学びやすくするため、8部門に分けられています。
内科、小児科、精神科、産婦人科、毒物学科、耳鼻咽喉科、若返り科、そして外科学です。
ワゴリのアーユルヴェーダ大学病院の外来も、この8つの部門から成ります。
月曜日から土曜日までの午前中は、インターンシップ中の研修医と最終学年の学生が各部門に振り分けられ、実習の機会が与えられています。
午後からは講義にて理論を学びます。
ワゴリは、プネ市内とはいえ町外れにあり田舎ですが、そのような環境の中、特に患者さんが多いのは、産婦人科と内科のようです。
また併設されている「がん研究センター」にも、多くのがんの患者さんが訪れます。
入院患者さんの多くは、それらの治療を目的としたパンチャカルマといわれる浄化療法を受けるため、1週間~3週間くらい滞在します。
アーユルヴェーダの外科治療は、古典によると紀元前3000年から行われているといわれます。
たとえば、形成外科は「サンダーナカルマ」と呼ばれ、古典にも義足をつけたという記述があり、「アンガプラティヤロハナ」という言葉は「臓器移植」という意味であり、古い文献にもそのような記述がでてきます。
また「プラワルガヴァイディヤ」とは、切られた頭をつなぐ医師という名称もであり、そうした記述が古典にあることにも大変驚かされます。
ちなみに外科手術は、今のヴァナラシ地域で特に発展していたそうです。
現在のアーユルヴェーダ大学のカリキュラムは、主に以下のような内容です。
アーユルヴェーダと現代医学、それぞれ両方の外科治療について学びます。
1. 外科学の歴史。
2. 炎症性疾患。
3. 化膿性疾患。
4. 潰瘍性疾患。
5. 異物の種類。
6. 焼灼法(火または化学薬剤を使うもの)。
7. 出血性疾患。
8. 手術用器具。
9. 腫瘍。
10. 骨折。
11. 関節の疾患。
12. 包帯の種類と固定法。
13. 骨髄炎。
14. リンパ腫。
15. 腹水症。
その他にも、外科手術の適応のある疾患・道具・治療について学びます。
ちなみに、1学年では解剖学を学びましたが、そのときは学内にある解剖学教室で実際の検死体を解剖し、現代医学の名称を覚えなくてはなりませんでした。
今まで理論として学んできたことが、臨床実習のおかげでパズルのピースのようにはまっていく感じです。
2学年では、学んだ薬草や製薬法を使って治療を行ったり、解剖学で学んだ内蔵などを実際の開腹手術に立ち会ったりします。
そうして、回復した患者さんともお話をして生の声を聞くこともできるので、臨床実習の時間はとても貴重です。
私がはじめて見学した手術は、帝王切開でした。
アーユルヴェーダの婦人科の教授が西洋医学の医師と一緒に手術しています。
またアーユルヴェーダの外科治療としては、アグニカルマといわれる焼灼法がありました。
これは、魚の目に熱した鉄の棒をあてて焼灼しているところです。
何度か焼灼する合間には、アロエヴェラの果肉をあてて冷やしています。
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すっかり遅くなりましたが、4月に学園祭がありました。
すこし写真でご紹介しておきます。
本来なら、2月に開催されるはずだったのですが、延期されたおかげで、最も暑い時期になってしまいました。
でも、まったく暑さを吹き飛ばすくらい学生も先生もみんなとても楽しく一緒に盛り上げていました。
40度を超す暑さの中での学年対抗クリケットは、応援も激しく本気の喧嘩騒動になり、一時学園祭を中断されてしまったほどです。
日本は、これから暑くなるところだともいますが、インドではようやく暑い時期をすぎました。
季節の変わり目は、特に雨期はヴァータが乱れ、体調が崩れやすいときだといわれています。
おなかを冷やさないように、冷たい飲み物を控え、あたたかいスープなどがよいようです。
今回の瞑想は、ヴァータが乱れて心が落ち着かなかったり、あまりよく眠れないという人にもおすすめです。
1. まず、楽にしてくつろいだ姿勢をとりましょう。
座っていても、寝ていてもかまいません。
目を閉じて、体の隅々まで感じます。
緊張があるかどうか、足から感じていきます。
どこかに緊張があれば、その緊張を強めましょう。
たとえば、右足に緊張があるときは、その緊張を高めます。
緊張が最高になったところで、さっと力を抜くのです。
そうすれば、どのようにくつろいでくるかが感じられるでしょう。
このようにして、からだの隅々まで緊張があるかないか、確かめていきます。
そして緊張があれば、最高に緊張させて、緩めます。
2. 次に、体が楽になったら、あとは忘れてしまいましょう。
体を楽にしようと考えすぎると逆効果です。
目を閉じて、両脇の間を感じましょう。
体の他の部分は忘れて、胸の辺りに安らぎを感じましょう。
朝、眠りから覚めても目を開かないでそのままこの瞑想で一日を始めてみましょう。
一晩寝た後の体はリラックスしているので、ただ、力を抜くだけでいいでしょう。
両脇のちょうど中間の胸のあたりを意識します。
心からやすらぎに満ちているかんじを思い出しましょう。
約10分間試して、目を開いてみてください。
穏やかな感じで一日を始められるでしょう。
~ OSHO メディテーションより ~
アーユルヴェーダの知識が、日本でも役立ちますように。
インド・プネのワゴリ・アーユルヴェーダ大学より。
大橋美和子