今年の冬はとても暖かい日が続いていましたが、年を超えてから急に寒くなりましたね。
石垣島でもおよそ100年ぶりといわれるほどの低温となりました。
さすがにうちで育てているトゥルシーなども枯れそうになってしまい、慌ててトンネル栽培に切り替えました。
でも寒さが来て、地上部が枯れると、いよいよ収穫を迎える薬草もあります。
それがウコンの仲間たち。
沖縄では○○ウコンと呼ばれるものが5種類ほど主に育てられていますが、今日はその中から「春ウコン」について紹介します。
(ウコンの仲間)
インドといえば世界一の生産量をほこる「秋ウコン(ターメリック)」が有名ですが、きょうは「春ウコン」のお話しです。
春ウコンもインド原産の生薬としてアーユルヴェーダで使われているようです。
良く、春に収穫されたものと秋に収穫されたものの違いではないの?と聞かれますが、秋ウコンと春ウコンはとても近い仲間ですが、全く違う植物です。
秋に花が咲くのは「秋ウコン」で、英語名は「ターメリック」。
日本の植物名として「鬱金」。
ヒンディー語では「Haldi」。
春に花が咲くのが「春ウコン」で 英語名は「ワイルドターメリック」。
日本の植物名は「姜黄(キョウオウ)」です。
ヒンディー語では「Ban-haridra」です。
地上部を見比べてみてもほとんど区別できませんが、葉っぱの裏を触ると春ウコンは産毛が生えていて、さらさらとした手触りです。
秋ウコンはつるつるしていてピタッと手に吸い付く感触がありますから、そこで見分けることもできます。
でも、大雨のあととか、成分が少ない時には両方ともさらさらしていてわかりづらいです。
また、中医学では、鬱金と姜黄は逆の植物を指すものとして入れ替わりますから、ややこしいです。
実はもっとややこしいのですが、呼び名は場合によって入れ替わるというくらいに覚えておけばいいでしょう。
春ウコンの有効成分はクルクミンと多種に及ぶ豊かな精油成分になります。
クルクミンはターメリックの黄色い色素成分で肝臓にとてもよく、近年アルツハイマーの発症を抑えるものとしても、とても注目されていますが、春ウコンにも、このクルクミンが含まれているので、断面は黄色になります。
沖縄で育てられているウコンと呼ばれているものには、主に、
1. 薬ウコン。
2. 秋ウコン。
3. 春ウコン。
4. 紫ウコン。
5. 白ウコン。
以上の5種類がありますが、この順番でクルクミンの含有も多くなっています。
そして、ちょうど真逆に、含まれる精油成分の量は少なくなっています。
4~5はクルクミンは含まれず、それぞれ異なった精油成分が多く含まれ、効果も違ったものとなります。
精油成分はとても苦いので、食べやすさの順番も、この順番になります。
ですから、カレーなど食品としておいしく食べられるのは精油成分の少ない「薬ウコン」「秋ウコン」までです。
体にもよくおいしく食べられるから、この仲間の中では秋ウコンが一番流通しています。
しかし、味はまずくても、めちゃくちゃすごい効果があるので、春ウコンは健康食品として大変人気があります。
「紫ウコン」以降は、「まずい」というレベルを通り越して、なんとか口に入れられるレベルになりますw
(あくまで私の主観です)
さて、春ウコンですが、その効果として、アーユルヴェーダでは、
「強壮剤であり、収斂剤や打撲、捻挫、皮膚、心臓血管や呼吸器系に関連する疾患・頭痛に使われる」
と書かれています。
(春ウコン)
インドでは近年、アーユルヴェーダでの薬草の使われ方を現代薬理学の手法を用いて調べなおす論文が多数でていますが、それらによると春ウコンには「頭痛」「抗てんかん」「抗炎症」「抗腫瘍」「免疫学上の効果」「創傷治癒」「抗酸化作用」「抗微生物」「抗糖尿病」「蚊忌避」「抗アレルギー」「胆嚢炎・胆管結石およびその他の関連の治療」「UVA媒介メラニン生産抑制」「 UVA誘発性細胞のオキシダント生成に対する保護」など、様々な研究で裏付けが得られたという報告を読むことができました。
日本でも、沖縄は春ウコンの栽培が盛んですから、春ウコンを使った症例報告がたくさんあります。
中でも私が読んでいてすごいと思ったのは、様々な末期がんに対する症例報告で、「直腸癌」「大腸癌」「肺癌」「前立腺癌」「腎臓癌」「肝臓癌」「胃癌」「食道癌全摘後の転移」「消化管膜間質性腫瘍」「膵臓癌」「乳癌」「子宮体癌」「膀胱癌」「膀胱癌」「卵巣癌」「脳下垂体腫瘍」など、非常に多くの末期がんに対して、効果を示しているレポートでした。
(春ウコン研究会)
http://www.haru-ukon.com/
海外の論文でも抗ガン作用について言及されているものを多く読むことができますが、症例として多くの報告を読むと、とても驚きです。
もちろん、ここには書かれていない効果が及ばなかった例もあるでしょうし、癌に良いといわれるものは世の中にたくさんありますが、その有効性は人によりけりで、確実性のないのが癌治療です。
しかし、日本人の二人に一人が癌にかかり、三人に一人は癌で死亡する時代ですから、頭の片隅に「春ウコン」の存在を入れておいても損はないかもしれません。
そして、春ウコンについては、別の側面から、とても注目されていることがあります。
それは、発達障害による二次的症状を緩和するというものですが、具体的にいうと、
・脳の緊張や興奮、締め付け感、同じ考えが離れない症状(強迫性症状)の緩和。
・思考がスムーズになった(認知機能の改善)。
・物事を整理して思考できるようになった(気分変調の改善)。
・抑うつ感・対人時の緊張感が軽減された(全般的な脳機能改善による心理的影響)。
などです。
これらはWEB上にあった発達障害当事者の方たちの感想をまとめたものです。
発達障害の症状の一つとして、強迫的にぐるぐると同じ思考が頭から離れず、今、考えるべきことが考えられなくなって、日常生活に支障をきたしたり、本来ならどっちでもよいような小さな問題が気になってしまって、大切なことができなくなってしまうことなどが、とてもつらいといいます。
そういうことって、ありますよね?
もしかして私も発達障害かも?って思ってしまいますが、これはストレス下にあっては、とくに発達障害という診断を下されていなくても、普通に誰にでもあり得ることですから、普通の人にも春ウコンは、これらの症状の緩和のために使われています。
薬理試験として、これらの症状に効果があるのか?という試験が行われたという論文などはまだ見かけませんが、数年前から、ある精神科の先生が臨床的に試してみたところ非常に効果があるとして発表して以来、同じような症状に悩む人たちが、自ら試してみて、その効果が口コミで広まっています。
精神的な疾患を持つ方たちが集まる作業所に勤めている友人から、現場では「すごく効果があるんだよ」と認められて、使っているという話を聞いて、私も自ら試してみたところ、脳への血流が増えて精神的にも落ち着くという感じがしました。
春ウコンは、特に腎臓に対する障害などを持っていなければ、禁忌事項もない薬草で、がんや糖尿病の予防として愛飲している方も多いものですから、何かの折には、試してみるのもいいかもしれません。
インターネットの普及によって、本来いわれている効果と違ったところに効果を実感された方がブログなどで情報を発信して、同じ症状で苦しんでいる人が、それを自分でも試してみたところ効果が実感できたということで、口コミで広がる使い方が増えているようです。
春ウコンなどもそのようにして、思わぬところから広まっています。
非常に多くの栄養を含むことが売りだったモリンガが、おならや体臭が臭くなくなった!といって広まったこともありました。
植物の持つ可能性がどんどん新しく発見されていく面白い時代ですね。
私も今年の春からは、少し多めに春ウコンを植えようと思っています。
もだま工房 彦田治正
(石垣島アーユルヴェーダハーブ園・もだま工房)
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(もだま工房 Facebook)
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