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インド・プネにあるワゴリ・アーユルヴェーダ大学に留学中の大橋美和子さんより、現地のアーユルヴェーダ事情や生活の様子についてご紹介くださいます。
(大橋美和子さん)
薬剤師。2009年からインド・プネのワゴリ・アーユルヴェーダ大学に留学中。
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ハッピーディワリ!!
爆竹や花火が華やかに鳴り響き、煙が辺り一面真っ白にするほどの大騒ぎ。
道の真ん中に帯になった爆竹を広げ、端から端までバババババババババーーーーーッッと大きな音で新年のお祝い。
今日は、お祭りの4日目。毎晩、玄関先にギーランプを灯して神様をお迎えします。
今年のディワリは、進級試験直前なのであまりお祝いモードではなかったのですが、それでも大学も2週間のお休みに入りました。
その前に、アーユルヴェーダ大学のがん研究所では、4年に1度の国際アーユルヴェーダ学会が開かれました。
日本やドイツ、オーストラリアなどからも癌から回復した報告に数名訪れていました。
ワゴリのアーユルヴェーダ大学の敷地内には、薬草園、薬局、パンチャカルマ病棟と、癌研究所が併設されています。
癌研究所には、放射線治療のための設備が数年前に寄付されました。
化学療法や放射線療法、オゾン療法、外科手術など癌治療の為の設備があります。
今回の学会では、ボンベイの西洋医学の病院から癌の手術にあたっている有名なドクターが招かれていました。
また、アーユルヴェーダーによる癌の治療や、副作用の軽減、生活の質の向上といった症例が報告されました。
なかでも一番印象に残ったのは、西洋医学の癌の手術を行っているドクターの話でした。
癌の治療は、ここ数十年でとても発達してきているけれども、一番忘れては行けないのは、患者さんと医師の関係性だということでした。
というのは、今では、ロボットによる手術も可能で、手術室の外からモニターで手術をする事もあります。
でも、やはり、手術の前にドクターから、ちょっと声をかけられたり、手を触れられることで、随分安心するものです。
どんなに技術が発達しても、人間として関係性を大事にしたいというお話でした。
決して、アーユルヴェーダや西洋医学のどちらがよい医療だというわけではなく、併用することで良い結果につながるということです。
西洋医学の治療を続けながら、アーユルヴェーダを取り入れて、生活の質を向上したり、癌の進行を緩和させたりしています。
ドイツの患者さんの報告では、皮膚がんで余命6ヶ月と診断されながらも、アーユルヴェーダですっかり生活や食事を変えて、健康になった人が発表されていました。
10年以上たった今でもとても元気で、5回目のパンチャカルマに来られていました。
日本からも胃がんの手術の前にパンチャカルマを受けた患者さんが報告に来られていました。
どの方も「ワゴリでパンチャカルマを受けてから生活が変わった」「心穏やかに暮らせるようになった」等、とても幸せそうでした。
初めて、ワゴリを訪れた12年前、パンチャカルマを3週間受けたときの体験は今でもはっきりと覚えています。
体の中からすっきりと何かが出た感じがありました。
先生にすすめられた食事を続け、できるだけのんびりと過ごしていた間の3ヶ月は、日増しに調子が良くなっていきました。
ただ、その時、すっかり健康になったと思って油断して、治療前の食事や生活に戻ったとたん、すぐに調子が悪くなりました。
そして、あらためて食べた物が栄養になり、からだを作っているという事を思い知らされました。
今回の学会でも、癌を生活習慣やストレスによる病気とし、そのあたりに特にアーユルヴェーダが有効であると効果も認められていましたし、ますます期待されていました。
学会は、2日間にわたってプネ市内のホテルで行われましたが、1日目の夜は、ワゴリの大学に会場を移して、伝統音楽の踊りが披露されました。
ワゴリは、サダナンダ先生の父であり聖者といわれたマハラジが、インドの伝統音楽やヨガ、アーユルヴェーダなどを世界に広める拠点となるようにと言い残された場所です。
昼間の真剣な空気と打って変わり、がん研究所の若い先生たちがサプライズゲストとして踊っていたり、女装して踊っている先生もいたりして、にぎやかに盛り上がりました。
大笑いした後は、おいしいお食事を頂いて帰りました。
アーユルヴェーダの治療に興味を持ってこられる方の中には、西洋医学の薬を止めたほうが良いか、たずねられたり、まったく使いたくないとおっしゃることもあります。
しかし、たいてい先生は、続けるようにすすめられます。
西洋医学の治療を続けながら、アーユルヴェーダの智慧を使って健康を取り戻す方法はたくさんあります。
ヨーガや瞑想、呼吸法、優しい音楽を聴く時間を朝や夕方にもつように、とよくサダナンダ先生もおすすめされます。
アーユルヴェーダの薬は、ドーシャといわれる体質、ダートゥという体の組織、それから病気によい作用を考慮しながら投与されます。
ですから、癌の薬といっても、たとえ同じ胃癌にかかっていても、人によって処方される薬は異なっています。
薬草植物や、動物由来のもの、貝殻、金属、鉱物など様々な原料から作られています。
しかし、アーユルヴェーダの薬を飲まなくても、西洋医学の薬を飲みながら、からだのもとになっている食事や栄養に気をつけることもできます。
生活習慣を見直して体のリズムやホルモンバランスを整えることもできます。
今、進級試験を10日後に控えて、落ち着かなくなってきました。
パンチャカルマ治療の後も、先週までは癌学会や試験のレポート提出などに追われ、毎日通っていた夕方のOSHOセンターの瞑想にも行けない日が続きました。
夕方は、特にヴァータ(風の要素)のバランスが乱れやすくなります。
日中はどんなに忙しくても、毎日10分でも眼を閉じてのんびりする時間があると落ち着きます。
夜寝る前も、先月に続いてOSHOの「こころで体の声を聴く」瞑想を続けています。
インドも、そろそろ秋から冬(ヘーマンタルトゥ)に変わる季節です。
といっても、夕方までは、ノースリーブを着ていられるほど温かい毎日で、最高気温は30度、最低気温は15度程ですが。
今夜は、ディワリ祭り4日目。
あっ!!、玄関先に用意しておいた、まだ火を灯していないギーランプを近所の野良猫がなめてしまっています!
ギーランプを作り直さなくてはいけません・・・。
ギーランプを灯すと、なんだか本当に家に神様が来られているようで、嬉しい気持ちになります。
どの家でも、とても綺麗に灯りをともしていて、町全体がうきうきとしているようです。
インドの旧暦の新年は3月頃ですが、このディワリの時期のほうが随分お正月らしさがあります。
甘い物をたべたり、花火や爆竹を鳴らしてお祝いします。
私のお部屋の大家さんから、奥様手作りの伝統的なお菓子をいただきました。
今年一年、明るい年になりますように。。。
インド・プネのワゴリ・アーユルヴェーダ大学より。
大橋美和子