アーユルヴェーダライフ読者の皆様こんにちは。
第2回目の今回、ご紹介するハーブは「ブラフミ」です。
ブラフミとは、「究極の実在であるブラフマンの知恵を助ける」という意味で、記憶力や認知・学習能力を高めるハーブとして古代より使われてきました。
今でもインドには「知性の門を開く」ために新生児にブラフミを塗る儀式があるそうですし、子供にブラフミのシロップやティーを飲ませる家庭が多いと聞きます。
しかし、ブラフミには、2種類あります。
バコパとツボクサですが、同じように、記憶力をよくし、知性を高めるということで、全く違う植物ですが同じ名前で呼ばれています。
ケララなどの南インドでは、ブラフミといえばバコパを、北部・西部ではツボクサをブラフミと呼ぶようです。
(ツボクサ)
もう一つのブラフミであるツボクサ。
今回ご紹介するのはバコパのほうのブラフミです。
以下、バコパと呼ぶことにします。
バコパは写真のように水辺のハーブです。
和名をオトメアゼナといいます。
15度以下になるところでは育てるのが難しいといわれていますが、姿も可憐でかわいらしいので、熱帯魚を飼う時の水草として日本では市販されているときもありますし、沖縄などでは野生化している地域もあります。
しかし、バコパと呼ばれるのはゴマノハクサ科の水草の総称なので、バコパという名前で売っていても、今回紹介しているブラフミとは限りませんので(というか、ほとんど違うものです)熱帯魚やさんから買ったものを食べるのはお勧めしません。
(バコパを上から見たところ)
そして、本物のバコパでも生で食べるととても苦いです。
はじめ私は、せっかく育てているのだから新鮮な生のものを!と思って、朝起きると食べていました。
ブラフミは、ブラーフマムフールタと呼ばれる日の出前の早朝の時間帯にとるのが最も効果的と聞いていたので、その時間に食べていたのですが、一つまみ食べるだけで、完全に目が覚めて、頭が覚醒したものです。
苦すぎて(笑)。
これは苦すぎて商品にならないや・・・と思って、しばらくは観賞用のハーブでした(笑)。
しかし、後年、お茶や粉にしてみると、それほど苦みも感じることがなく、脳内の血流が良くなっていくことや、気分に変化が起きることなどを簡単に実感することができました。
さて、バコパは1960年代にはその有効成分なども特定され、現代医学的な手法を用いた、さまざまな動物実験や人間に対する臨床実験もされるようになりました。
その主な効果は、認知力・記憶力の向上ですが、もう一つの特徴として不安の軽減があります。
一般に不安を軽減する作用のある薬というのは頭がぼーっとしやすくなったりして、記憶力を低下させてしまうことが多いものですが、バコパでは不安を軽減しながら記憶力を高めるというのが、特に注目されるところのようです。
他にも、バコパはインドでは、「精神病」「不眠症」「てんかん」「胃腸障害」「血液の浄化」「便秘」「流産の予防」「美容効果」「皮膚病」「糖尿病」「貧血」「歯痛」「粘膜の炎症」「強心剤」などにつかわれるということです。
アメリカ国立医学図書館の 医学・生物学分野の学術文献検索サービス(Pubmed)は、インターネットで簡単にアクセスできて医学・生物学に関する文献が網羅されています。
わたしは「○○というハーブが△△にいいらしいよー」という話を聞くと、ここにアクセスして科学的にはどうかを調べるのですが、バコパに関していえば、非常に多くの試験がされていて、アーユルヴェーダの知恵がどんどん科学的にも裏付けられているという印象を受けました。
ちなみに、このデータベースにアクセスすると、現在市販されているスマートドラッグ(頭が良くなるといわれているもの・サプリメント)と記憶力アップ効果の関係を調べた内容が、非常に沢山出てきます。
このなかから、記憶力アップに効果があると言われるサプリメントについて、調査や実験の精度、回数と得られた結果を調べてみると、現段階では科学的に記憶力に効果があるといえるのは、やっぱり、市販されているほど多くはありません。
しかーし!バコパについては、日本では知る人はまだ少ないようですが、調べた限り、ピラセタムのようないわゆる「頭を良くする薬」と比べても効果が高く、もしかしたら最強?と言っても良いかもしれません。
他にも、アーユルヴェーダのハーブたちには記憶力に関するデータが科学的にもたくさんでてきます。
アーユルヴェーダ最強伝説がここからはじまるかもしれません。
バコパが年齢を問わずに、認知力・学習のスピード・記憶力が高まるといういう調査結果については、いろいろなところで、さまざまなタイプの被験者に実験がされています。
興味のある方は「pubmed bacopa monnieri」で、
https://www.google.co.jp/webhp?sourceid=chrome-instant&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=pubmed+bacopa+monnieri
検索していただけたら、たくさん読むことができます。
バコパについてはこんな試験もあります。
(処方薬との比較実験でも、バコパのほうが効果的?)
http://diamond.jp/articles/-/64031
それは、アルツハイマー型認知症(AD)の患者に対して、ADの進行を抑制する塩酸ドネペジルを投与した群と、バコパを含む生薬を投与した群を比較した実験。
その試験結果は生薬群は処方薬群よりも、全般的脳機能検査(DSS)と即時記憶の改善を認めたほか、うつ病スコアと洗面や着替え、排泄などの日常生活の障害も有意な改善を示した。
さらに、酸化ストレスや炎症を表す検査値も生薬群で著しく低下した。
一方、認知機能検査(MMSE)や一定の言葉を30分後に思い出すといった、遅延再生記憶についての有意差は生じなかった。
また、健康な高齢者たちにプラシーボ(偽薬)とこの生薬を与えたところ、生薬を与えた群は全般的認知機能とうつ病スコアで有意に改善が認められたということです。
このような効果が認められていることから、日本でも認知症にも効くということで実際、医療機関向けのサプリとして販売されています。
サプリの名前は「フェルガードB」です。
ただし認知症のためにバコパを使ってみたいという方は、認知症のタイプによって効果が変わってきますから、専門のサイトなどで情報を収集してから、用いるか判断されることをお勧めします。
(認知症を学ぶ会/掲示板「フェルガードB」について)
http://www.ninchi119.com/forum/viewtopic.php?f=4&t=4955
また、健康な方にも脳内の血流を改善する目的のサプリメントとしてはイチョウ葉が有名ですが、バコパはイチョウ葉の数倍の効果があるとも言われています。
そして、脳には血液脳関門というものがあって、有害な物質が脳に侵入するのを防いでいますが、脳に有益な物質もブロックしてしまいます。
しかしバコサイド(パコパの有効成分)は血液脳関門を通過して脳に入ることができ、強力な抗酸化作用を脳内で発揮し、活性酸素の害から脳細胞を守り、若々しく保ってくれます。
先ほども少し書きましたが、バコパには不安感を軽減する作用もありますが、バコパには幸せのホルモンとも呼ばれる脳内物質「セロトニン」の受容体を活性化させる働きもあります。
これにより抗不安効果や抗うつ効果を発揮して精神を安定させることができるし、不眠症の改善も期待されるわけですが、
「アーユルヴェーダの伝統薬草 バコパで心の病に克つ」(ふるさと文庫)によると、バコパは睡眠の質(寝つきがよくなる・眠りが深いなど)に関して非常に高い効果を示しています。
(アーユルヴェーダの伝統薬草 バコパで心の病に克つ)※ふるさと文庫
http://bunko.info/drug-plant/bakopa.html
また、不安障害に併発しがちな「やる気が起きない」や「何をしても楽しくない・なんとなくつまらない」といった感情、イライラ、集中力の低下、疲労感に対しても効果を実感する方が多いようです。
しかも、1ヶ月以内の短期間で効果を実感される人が多いのも特徴の一つといっていいと思います。
私などは飲んだら、10分くらいから脳の血流の変化や気分の変化を実感しますが、ネット上の掲示板などの書き込みでも、同じように感じる方が多いようです。
と、いうことでブラフミは頭がよくなる!というお話でした。
では、それを育てているあなたは頭が良くなったのですね?と聞かれることがありますが、育てているだけでは頭はよくならないと気が付くのに長い年月がかかりました(笑)。
そして飲み始めたおかげでこの程度でいられますから、飲んでいなかったら大変だったかもしれないと答えています♪
(栽培風景)
注意事項としては、副作用は比較的少ないものの、口の渇きや吐き気、疲労感を感じる人もまれにいるようです。
また、甲状腺疾患の治療薬と相互作用を起こしてしまう可能性もあるため、甲状腺の病気のある方は注意が必要です。
もだま工房 彦田治正
(石垣島アーユルヴェーダハーブ園・もだま工房)
http://tubokusa.com/
(もだま工房 Facebook)
https://www.facebook.com/%E3%82%82%E3%81%A0%E3%81%BE%E5%B7%A5%E6%88%BF-270099669689833/