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インド・プネにあるワゴリ・アーユルヴェーダ大学に留学中の大橋美和子さんより、現地のアーユルヴェーダ事情や生活の様子についてご紹介くださいます。
(大橋美和子さん)
薬剤師。2009年からインド・プネのワゴリ・アーユルヴェーダ大学に留学中。
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プーネの夏!
いよいよ本番です。
マンゴーも甘く、毎日暑い中、戸外に出ると熱気がもわーっと、いうよりむしろぶわーっとやってくる感じです。
ふらーっとしながらもワゴリに通っています。
アーユルヴェーダでは「暑い夏には冬場より体力が劣る」といわれますが、実際、最高気温42度を記録するような暑さでは、古典を開くまでもありません。
とはいえ、やはり、アーユルヴェーダの理論はなるほどと納得させてくれます。
暑くて食欲がなくなるというのは、つまり、汗をかいて体温を調節しようとするため、おなかの消化の火(アグニ)が、弱くなっているからといわれます。
そのため、冷たい飲み物や食事は、ますます消化の火を消すことになり、夏バテなど体調を崩してしまうことにつながります。
そんなとき、スパイスの利いたインドのカレーは「消化を助けるスパイス効果」があるはず・・・なのですが、私には、ひとつ苦手なものがあります。
それは、トウガラシ!
インドの食事は、いつもカレー?とよく尋ねられますが、とにかく野菜はしっかり煮てあって、豆も形がみえなくなるほど柔らかいカレー。
それはとても消化にいい感じです。
が、辛いのです!
レストランに行って、注文をするときには、「トウガラシを抜きで」とお願いします。
はじめのうちは、「辛いのは苦手なので、マイルドにしてください」とか、「スパイスを抜きにしてください」と頼んでいましたが、これは通じませんでした。
なぜなら、こちらの人にとっての「マイルド」も、ワサビすらも苦手な私には「激辛」だから・・・。
一方で、「スパイス抜き」といってしまうと、トウガラシ以外のすべてのスパイス・味付けを含む意味になってしまうため、「それじゃあ味がないよ」ということになるのです。
マハラシュトラ州は、特に辛い味を好む傾向が強い地域なのだそうで、学食の昼食も、アーユルヴェーダ大学であるにも関わらず、学生たち好みの「辛い」味付けです。
そのため、「辛い」のが苦手な私は、パンチャカルマ治療用の入院食をいただいていました。
こちらは、全くトウガラシが入っていないので辛くありません。
それでも日本とは違うこちらの食事が、どうも体にあわないと感じるのがこの季節です。
昼食後は、暑さのせいかなかなか集中できず、熱気のせいかフラ~としてくるしで、本当に大変でした。
ところが、ここ1年程は、変化があるのです。
それは、ワゴリの大学の創始者ドクター・サダナンダの父、マハラジのお墓(サマディ)にお供えする食事を、サダナンダ先生方といただくようになってからのことです。
サマディにお供えする食事は マハラジの古くからの弟子である、元アーユルヴェーダ産婦人科医プラバ先生が毎日手作りされています。
プラバ先生がお作りになる食事は、心がこもっていてとても元気が出るのです。
「辛さ」も控えめで、カレースープとご飯と甘いもの、酸味のきいた漬物に塩が添えてある、メニューは大変シンプルな内容です。
ただこちらの食事には、アーユルヴェーダですすめる六味(甘味、塩味、酸味、辛味、苦味、渋味)をすべて取り入れ実践されます。
しかしなにより、プラバタイ先生のマハラジへの感謝の想いがこめられた、心のこもった食事は私たちを元気にしてくれます。
プラバタイ先生は、「サトヴァ性の食事だから元気がでるのよ」と教えてくれます。
アーユルヴェーダでは、食事の性質を心身に考慮して分類しています。
体質は、ヴァータ、ピッタ、カパによる分類ですが、精神的にも分類があります。
それが、サトヴァ、ラジャス、タマスです。
サトヴァは、明晰さ、愛情、愛をもたらし、心のバランスを保ちます。
サトヴァ性の食事は、愛のこもった食事や新鮮な野菜、果物、穀物や消化によい料理です。
ラジャスは、感覚を乱し、興奮しやすくなりがちです。
ラジャス性の食事は、辛くて、スパイスの利いた食事や、発酵食品です。
タマスは、頭をぼんやりとさせ、眠気を誘います。
タマス性の食事は、肉、卵、キノコ類、にんにく、古い食品などです。
プラバタイ先生の食事は、まさに「心のこもった」食事であり、ワゴリで栽培している有機無農薬の野菜や、牛乳を使ったバターやヨーグルトなどを使っていて、シンプルで消化に良い食事です。
それが、これほど(普段の食事と)違うとは!!
暑くて、午後の授業はとても集中できなかったのが、一転して楽になりました。
アーユルヴェーダに出会ってから、食事によって体調が変わるというのを大きく実感したのは、これで2度目です。
1度目は、初めて受けた浄化療法(パンチャカルマ)の後です。
浄化療法で、体に溜まっていた未消化物を排泄し、すっきりと体が軽く感じていた毎日。
そのあと、先生の注意に従い、体に合わないものを控え、消化に良いものを食べるように心がけていました。
3ヶ月間、日毎に身体の調子はよくなり、浄化療法が終わっても効果が持続し、むしろますます改善されている感じがしていました。
ところが、その時点で、アーユルヴェーダを学び始めたばかりの私は、体質が改善されて「治った」と勘違いしました。
そして4ヶ月以降から、以前と同じような食事をとるようになってしまったのです。
ご想像通り、それと同時に、身体は治療前と同じ体調に逆戻り・・・。
せっかく治療を受け、「アーユルヴェーダって素晴らしい!」なんて思っていたのも束の間でした。
間違いに気づき、そして悩み始めたのが、どうすれば「アーユルヴェーダの効果」を治療後も保てるのかということでした。
食事を変えるなんて難しいなあ・・・。
インドにきても日本食の方が美味しいと感じるし、体に悪いからといって今までの食事の好みを変えるなんて無理だなあ・・・とも思います。
でも、一度味わった体調の良さは、体が覚えています。
そして、「体は口にした食べ物でできているんだなあ」と本当に実感し、あらためて食べ物に気を配るようになりました。
それが初めての「食事と体調のつながり」を感じたきっかけです。
なんとかインドの食事やスパイスに頼らずにアーユルヴェーダを実践できないものかなあ、と思うようになりました。
インドに滞在してもう何年にもなり、おかげで少しは辛さにも耐えられるようになったかもしれません。
しかし、もともと「わさび」も「からし」も苦手だったのです。
ひさびさに日本に帰った時には、味付けが濃くなったんじゃない?と母にいわれたこともあります。
そんな私にも実践できるアーユルヴェーダ的食生活は、プラバタイ先生の料理で実感したサトヴァ性の食事!
家で、ちょっとご飯を炊くだけでも、外食するより元気がでます。
それに母から送ってもらう手作りの梅干しを食べると、ちょっと変なもの食べちゃったかなあ、おなかが悪くなりそう、、というようなときでも、大丈夫。
六味に気を配るだけでなく、心のこもった食事こそ健康につながることを実感します。
スパイスや「インドの」食品や薬や治療というと、なんだかとても遠い、難しい印象を受けます。
でも、実際は、アーユルヴェーダは、もっとどこにでもある身近なもののように感じます。
アーユルヴェーダに出会って、初めて自分の体質を知りました。
そして、体が食べ物でできていることを実感しました。
こうしたことは、インドならではの食品や方法を通じて体験できたおかげなのですが、その食品や方法は「インドのもの」に頼らなくてもよさそうです。
アーユルヴェーダの知識は大いに役に立ちます。
たとえば、サットヴァ性の食品は、どこにでもあります。
こころをこめて料理することは、どこでだってできます。
「インドのもの」が手に入らなくても、アーユルヴェーダは、「アーユル=命」&「ヴェーダ=智慧」は、実践できるはずなのです。
アーユルヴェーダでも、「食べ慣れた食事は消化によい」といわれていますが、遠い昔に祖母が「あんまり変わったもんを食べると、おなかを壊すよ。」といっていたのを思い出します。
いわれてみれば、ほかにも、どこかで聞いたことのある「健康にいいこと」がアーユルヴェーダでもよく出てきます。
たとえば、冷たいものはお腹を冷やすから、冷たいもの(冷蔵されたもの)はあんまり食べたり飲んだりしないようになど。
いってみれば、「当たり前のこと」を理論的にしっかりと教えてくれて、今一度あらためて大切さを思い出させてもらっているインド生活・アーユルヴェーダライフです。
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さて、先日プラバタイ先生の昼食をいただいているときに、サダナンダ先生がおみえになり、メーデーの休日にワゴリの病院付属のがん研究センターのキャンプに誘われました。
キャンプというのは時々あるのですが、特定の患者さんを対象にした無料の診察・治療を行う日です。
今回は、ボンベイの西洋医学の病院から遺伝性腫瘍の著名な医師を招いて、無料で遺伝性腫瘍の可能性を調べる血液検査を行いました。
対象の患者さんは、家族に子宮がんや乳がんなどの罹患者がいる人、または自身にがんがある人。
特に遺伝性腫瘍に多い子宮がんや乳がんの女性の家族などが多く見られました。
まずは、家族構成や食習慣、病歴などの詳しいアンケートに記入して、検査を受けます。
医師との問診や、遺伝性腫瘍についての講義を受けて帰ります。
特にアーユルヴェーダにおいては、適切な食事や生活習慣などを取り入れて病気の予防や、悪化をふぜぐことに期待されているようでした。
血液検査で遺伝性腫瘍の可能性が見つかった人には、特にそのようなアーユルヴェーダを活用した予防をすすめられるということで、今回の共同研究に至ったようでした。
(女性のアーユルヴェーダ医の先生方)
西洋医学の最先端医療とアーユルヴェーダを活かした研究が進んでいることに、とても興味がわきました。
今月は、一番好きなダンスメディテーションをご紹介したいと思います。
(OSHOナタラジメディテーション)
※65分間のダンスメディテーションです、専用のBGMの入ったCDがおすすめです)
はじめから終りまで、目を閉じて行います。
第1ステージ(40分)
眼を閉じて、ただ、おどります。
無意識にまかせて体を動かされるような感覚にゆだねましょう。
どんな動きをしようかと考えたり、動きを眺めるのでもなく、ただ、トータルに踊りましょう。
第2ステージ(20分)
眼を閉じたまま、すぐに横たわります。静かに黙って、じっとしています。
第3ステージ(5分)
喜びを踊り、楽しみましょう!
そろそろ、日本は、緑の眩しい初夏の陽ざしが気持ちの良い季節でしょうか?
元気な毎日をすごせますように!
インド・プネのワゴリ・アーユルヴェーダ大学より。
大橋美和子
ワゴリアーユルヴェーダ大学のホームページはこちら。
http://www.atharva-ayurved.com/trust-activities/ayurved_college.html
パンチャカルマの情報はこちら。
http://www.atharva-ayurved.com/trust-activities/panchakarma/treatment.html
様々な瞑想&セラピーが体験できるプネ・OSHOメディテーションリゾートのホームページはこちら
http://www.osho.com/