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「生命の科学」ともいわれるインド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダ。予防医学・代替医療にとどまらず、高度な生命哲学としても注目されています。アーユルヴェーダでは、食事法(医食同源)・健康法(ヨガ・瞑想)といった日常生活に関わる内容から、「生命」そのものについてまでが語られています。
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アーユルヴェーダにアダプトジェニック・ハーブが多い理由

ジヴァ・ジャパン アーユルヴェーダ 文分千恵さん

- 第2回 -

 

(テキスト・写真|ジヴァ・ジャパン アーユルヴェーダ 文分千恵さん)

ジヴァ・ジャパン アーユルヴェーダ|連絡協議会・ダンヴァンタリ

こんにちは、アーユルヴェーダスクール「ジヴァ・ジャパン・アーユルヴェーダ」を運営している文分です。

アーユルヴェーダライフさんへの投稿としては今回が2回目です。

 

今回は「アダプトゲン」について書かせていただきます。

 

いまアダプトゲンがホットな話題になっています(といっても一部のウェルネス界においてですが)。

アダプトゲンとは、トラウマ、不安、肉体的疲労、エネルギー低下などとして現われるストレスへの抵抗能力を高める働きのある天然ハーブの総称です。

アダプトゲンが世界的に注目されているということは、ストレスに悩む人がいかに多いかを示しています。

 

現代は情報過多の時代です。

ネットの登場によって得られる情報量は飛躍的に増加しました。

さらにSNSによって雑多な情報が洪水のように押し寄せてきます。

だれがどのように計算したのかはわかりませんが、現代人が1日に得ている情報量は、江戸時代の人の1年分と言われています。

平安時代の人と比較すると、平安人の一生分の情報量を現代人は1日で取得しているのだそうです。

ムチャクチャな情報量の増加です。

 

しかし、現代と平安時代はたかだか1000年くらいの違いですから、人間の脳の情報処理能力は生物学的にみて、それほど変わっていないと考えられます。

情報量ばかりが急増した結果、脳は情報を処理しきれず、オーバーヒートする羽目に陥りました。

多すぎる情報は脳にとってストレスとなり、自律神経系の乱れを起こします。

結果、心と体に不調を起こします。

ストレスの原因は情報過多だけではありません。

忙しさ、競争、睡眠不足、環境悪化、ジャンクフード、喫煙・飲酒などいろいろです。

 

こういう背景があって、いまアダプトゲンが脚光を浴びているのでしょう。

アダプトゲンとされるハーブは結構ありますが、主なものを挙げてみます。

 

・アシュワガンダ - 原産地インド

・シベリアニンジン(エゾウコギ) - 原産地北東アジア

・トゥルシ(ホーリーバジル) - 原産地インド

・マカ - 原産地アンデス山脈

・朝鮮人参 - 原産地北東アジア

・ロディオラ・ロゼア(岩弁慶) - 原産地寒冷地

・朝鮮五味子 - 原産地中国北部、ロシア極東

・アストラガルス(レンゲ属、オウギ) - 原産地中国、モンゴル、朝鮮半島

・リコリス(甘草) - 原産地南ヨーロッパ、アジア

・モリンガ - 原産地ヒマラヤ地域

・ブラーミ(ゴツコラ、つぼくさ) - 原産地アジアの湿地

・シャタバリ - 原産地インド、東南アジア、アフリカ

 

興味深いことに、この12種類のハーブのうち、原産地がアジアでないのはマカとロディオラ・ロゼアの2種類だけ。

あとはインドを含むアジアが原産です。

アダプトゲンは圧倒的にアジアに偏在しているのでしょうか。

そうではないような気がします。

アダプトゲンは地球上のあちこちに存在しているはずですが、インドや中国の人たちが、ストレスや不安感が心と体に及ぼす影響を見抜いていたのではないでしょうか。

アーユルヴェーダや中医学は人間をホリスティックにとらえる医学なので、ストレス抵抗力を高める植物を発見したのだと考えられます。

 

西洋では医学界とキリスト教会との権力争いにより、医学界は身体を担当する、教会は心と霊性を担当する、という具合に役割が二分されました。

以後、最近まで西洋医学は心を診ることがありませんでした。

一方、インドでは医学界(アーユルヴェーダ)と宗教・哲学界が二分することがなかったので、医学界は体だけでなく、心も霊性も診る役割を担ったのです。

だから古代のアーユルヴェーダのリシ(賢者)たちは積極的にアダプトゲンを発見したのかもしれません。

 

アーユルヴェーダでよく使われるアダプトジェニックハーブについて簡単に説明します。

コラム・イメージ

(アシュワガンダ)

甲状腺ホルモンの調節作用、神経系保護作用、抗うつ作用、抗炎症作用があると言われています。

また心理的・身体的ストレスを緩和するアダプトゲンとしても注目されています。

アシュワガンダは男性のためのハーブというイメージが強いですが、抗ストレスや免疫力強化という観点からは女性にもおススメ。

細胞を若返らせるラサーヤナです。

コラム・イメージ

(トゥルシ/ホーリーバジル)

ミント属。

気持ちを落ち着けるハーブとして昔から使われてきました。

聖なる植物としてインドの家庭に親しまれています。

トゥルシの幹でつくる数珠は最も価値が高いと信じられています。

トゥルシは抗酸化作用に優れ、心臓や脂質レベルを健康に保ちます。

ストレス抵抗力を高めます。

細胞を若返らせるラサーヤナです。

ティーが美味しいです。

コラム・イメージ

(ブラーミ/ゴツコラ、つぼくさ)

ブラーミは脳神経を強く、知力を高める驚異のブレインフードです。

巷ではブラーミのことを「WHOが認めた21世紀の驚異の薬草」と言われています。

ほんとうにWHOがそう認めたのか都市伝説なのかはわかりませんが、脳の強壮ハーブであることは間違いありません。

ストレス抵抗力を高め、記憶力を強化し、血液を浄化すると言われています。

超高齢社会の日本に必須のハーブです。

脳のラサーヤナです。

スープにすると美味しいです。

コラム・イメージ

(シャタバリ)

シャタバリは女性の生殖力を強化する作用で知られています。

しかしそれだけではありません。

消化器系を強化し、免疫力を高め、肝臓の機能を改善し、抗炎症作用もあると言われています。

ラサーヤナでもあります。

そのため女性だけでなく男性にもおススメ。

シャタバリは私たちが食べているアスパラガスの親戚。

アスパラをたっぷり食べることもおススメです。

アーユルヴェーダは、心がリラックスしていることが健康と幸福をもたらすと言っています。

アダプトジェニックハーブを活用してストレス抵抗力を高めることは大切ですが、それだけに頼るだけでは十分でありません。

ストレスをもたらすライフスタイルを改善することが第一歩です。

それなくしてアダプトジェニックハーブが効く効かないといってもあまり意味がありません。

なにが自分にストレスや不安感をもたらしているのかを見つけ、それを取り除くこと。

でも仕事環境など原因を簡単に取り除くことができないのなら、ストレス耐性を強化するしかありません。

アダプトジェニックハーブをとるほか、ヨガ、プラーナヤーマ、瞑想、ヘッドマッサージ、足裏マッサージなど総力戦で心をリラックスさせ、ストレス耐性をつけましょう。

食べ物はできるだけサトヴィックなものを食べましょう。

 

 

【コラム筆者】

 

ジヴァ・ジャパン アーユルヴェーダ 文分千恵さん

 

(ジヴァ・ジャパン アーユルヴェーダ)

https://www.jiva-ayurveda.jp/

(ジヴァ・ジャパン アーユルヴェーダ/Facebook)

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