「アラフォーセラピトの台所薬局Labo」
「健康で美しく豊かに生きる智慧の宝庫」といわれるアーユルヴェーダ。
その中でも、身近な食材やハーブ・スパイスを上手に使って、人々の健康を守り続けてきた「台所薬局」の智慧から、不調を整えるレシピをご紹介いたします。
本日ご紹介するのは、痛みを伴う不調が多くみられる、この季節にピッタリの大蒜と生姜を使ったメンテナンスオイルです。
その前に、すでにご存じの方も多いかもしれませんが、身体の不調を感じるとはどういう事なのか、お伝えしたいと思います。
アーユルヴェーダは、医学でありながら病気の治療だけでなく、病気を予防することを重要視しています。
その病気の治療や予防の軸になっている考えが「トリ・ドーシャ」と呼ばれる生命エネルギー理論です。
アーユルヴェーダでは、宇宙は五元素(空、風、火、水、土)から成り立ち、そこに存在している私たちも、それらの要素が組み合わさってできていると考えています。
この五元素の組み合わせからなる、3つの生命エネルギーを「トリ・ドーシャ」といいます。
・運ぶ、動かす力 - Vata/ヴァータ(風)。
・使い切る、消化力 - Pitta/ピッタ(火)。
・まとまろうとする、結合力する力 - Kapha/カパ(水)。
※ドーシャは直訳すると「腐敗させるもの」とか「悪化させるもの」という意味があります。
それぞれのドーシャは目で見る事はできませんが、個々で生まれながらに持っている割合は異なり、本来備わっている気質や、思考・行動、身体的特徴の違いとしてあらわれます。
この3つのドーシャがバランスされている時に人は健康を維持しますが、本来持ち合わせているトリドーシャのバランスが崩れる時、心身に不調があらわれ、病気になるといいます。
ドーシャは全てのものに働いているため、食生活や生活習慣、加齢のみならず、季節の変わり目などもドーシャを乱す要因として考えられています。
不安定な気候の秋は、初秋は夏の暑さの残りでピッタを乱し、秋の深まりが進み、秋晴れの合間に台風接近など不規則な気温で次第にヴァータ性の不調が増え、私たちの体調に大きく影響を及ぼします。
ヴァータ性の不調として考えられるのは・・・、
・腰痛、関節の痛み。
・筋肉のこわばり、緊張。
・不安定さ、不安、恐れ。
・不規則で少量の月経。
・腸にガスが溜まりやすくなる、など。
日中との気温差で過剰になったヴァータは、ヴァータの座とよばれる体内で多く存在している部位「大腸」「骨盤腔」「腰」「腿」「骨」「耳」「皮膚」「神経系」へ蓄積されていき、それぞれの場所で身体の不調となってあらわれます。
この過剰なヴァータの落ち着かせる方法としておすすめしたいのが、オイルマッサージです。
オイルでマッサージすることで、ヴァータの持つ性質、「軽い」「冷たい」「乾燥」「不規則」「粗い」が安定します。
オイルマッサージというと、ちょっと面倒なイメージですが、ヴァータの蓄積されやすい部位に絞ってオイルを塗る、と考えると、なんだか出来そうな気がしてくるから不思議です。
このアーユルヴェーダの智慧を通じて、疲れを溜め込まないセルフケアの第一歩を、楽しく踏み出して頂けたら幸いです。
「激臭御免?! ~秋の不調を整えるメンテナンスオイルの作り方~」
ヴァータを整えるのに適しているセサミオイルをベースにした、血液循環を促す生姜とニンニクを使ったオイルです。
※加熱過程で煙が出て焦げてしまった場合は絶対身体に塗らないでください。
※肌に異常を感じた場合は、すぐに洗い流して使用をやめてください。
(用意するもの)
・鍋 / 小さめでホーローかステンレス製のもの。
・密閉できるガラス瓶。
(材料)
作り方は、とても簡単。
鍋に材料をすべて入れ、ごくごく弱火で加熱。
ニンニクと生姜が「茶色くなったら」出来上がり!
茶色くなったらって・・・、このザックリ感、さすがはインド。
食欲をそそる香りが立ち込めるキッチンで、焦がさないように目を見張ること約40分でオイル完成。
オイルが冷めたらが密閉ビンに入れて常温保存(保存目安は約1ヶ月ほど)。
大蒜と生姜は沈殿するので、ビンに一緒に入れてOKです。
(使い方)
首や肩、腰などに、少量(ティースプーン1杯くらい)ずつ、塗り込みます。
湿布をした時のような、スーッとした清涼感のあとポカポカに。
いつの間にか「スッキリ!」「軽やか!!」「臭いがクセになる?!」。
常備しておきたくなるメンテナンスオイルです。
【生姜 ショウガ】
生姜はサットヴァの性質が最も大きい最良のスパイス。
「普遍的な薬/ヴィスワベサージュ(Vishwabhesaj)」と呼ばれています。
消化や呼吸器疾患によく用いられ、関節炎や心臓の強壮剤としての働きもあります。
腸内ガスを消散させ冷えによる月経痛や腹痛にも効果的。
【大蒜 ニンニク】
大蒜のサンスクリット名は「ラショナ(Rashona)」といい、酸味以外の6味を全て含む「一つの味を欠く」という意味です。
強力な若返りのハーブですが、熱性のため血液を憎悪させ出血を起こすことも。
精神的な作用は、安定を増す一方で、精神を鈍化させる事があるため、ヨーガを実践している方には良いハーブとは言えないかも知れません。
AYUR SPACE Laxmi 一丸千尋
(AYUR SPACE Laxmi)
http://www.laxmi-ayurveda.com/