予防医学、代替医療、生活の中の食事法(医食同源)・健康法(ヨガ・オイルマッサージ・瞑想など)で注目されるインド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダの情報サイト
「生命の科学」ともいわれるインド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダ。予防医学・代替医療にとどまらず、高度な生命哲学としても注目されています。アーユルヴェーダでは、食事法(医食同源)・健康法(ヨガ・瞑想)といった日常生活に関わる内容から、「生命」そのものについてまでが語られています。
アーユルヴェーダの神様・ダンヴァンタリ神
アーユルヴェーダライフについて

アーユルヴェーダは、サンスクリット語の「アーユス(Ayus|生命)」と「ヴェーダ(Veda|知識、学問、真理)」が合わさった言葉で、「生命の科学」ともいわれる、インド・スリランカにおける伝統医学です。

アーユルヴェーダは、自らが自身の心と身体の状態を知り、心身共に調和のとれた、健康的な生活おくる方法について教えてくれます。

病気を患ってしまっている場合の治療についてはもちろんですが、そもそも病気になりにくい心身をつくること、つまり健康を維持し病気を防ぐという「予防医学」の側面を大切にしています。

アーユルヴェーダは、心と身体の繋がりを理解して、自らを癒していく方法(技術)を教えてくれる、インド・スリランカの伝統文化が育んだ「知識」です。

 

また、アーユルヴェーダはインド・スリランカにおける「医食同源」であり、身体の状態に応じた、適切な食べ物とそうでない食べ物についても語られており、日々の生活における実践的な生活医学でもあります。

医学知識や医療技術のみならず、日常生活の知恵や人生哲学、また生命科学の概念をも含む「アーユルヴェーダ」。

 

アーユルヴェーダライフでは、少しでも多くの方にアーユルヴェーダを知っていただけるよう、幅広く情報の発信してまいります。

 

インド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダ

日本ではオイルマッサージなどの美容法として、アーユルヴェーダという言葉が多く聞かれるようになりましたが、アーユルヴェーダは単なる健康法ではなく、薬草をはじめとする膨大な量の製薬知識と精緻な理論体系を備えた、5000年の歴史を誇る、インド・スリランカの伝統医学です。

 

西洋医学においては、既に病気になっている身体の状態に対して、身体のどの部位に病気が発生しているのか、病気の発生する原因にはどのような処方をすればよいのか、といった視点で考え治療を行う、対症療法が中心として考えられています。

 

その一方、アーユルヴェーダにおいては、病気の発生した原因はそもそも「何か」「何処か」という視点から患者に向き合い、身体の診察はもちろん、生活習慣・家族や仕事、周囲の人間関係など、まずはその人自身を理解し、精神的なストレスの程度や食生活の傾向など、幅広い内容から「病気」の原因を探り、問題の根本的な治療・解決を行っていきます。

 

そしてアーユルヴェーダ医学の大きな特徴は、その理論の中心に「心身の健康な状態」を基準として考えられているところにあります。

アーユルヴェーダでは身体が病気であるかないかに関わらず、一人ひとりの本来の「心身の健康な状態」を定義し、その状態はどのように維持されるのか、どのような治療を行っていけば本来の状態に戻るのか、といった考え方を軸として、 心身の健康の維持と向上、予防に焦点がおかれていきます。

そのため病気の発症前の日常生活の中においても、体内の老廃物の排出を目的とした「パンチャカルマ」などの身体浄化法や食事療法、ヨーガや瞑想などの実践などを行い、一人ひとりが本来持っている自己治癒力を高めることを意識し、「心身の健康な状態」の維持・促進を図っていきます。

 

アーユルーヴェーダとは、目前の病気の治療のみならず、心身の健康の維持と予防もあわせて考える、現代社会でも通用する大変有益な医学知識と考えられています。

20世紀、世界保健機構(WHO)においても、アーユルーヴェーダは補完医療として認定されています。

現代社会におけるアーユルヴェーダ

近年、インドやスリランカをはじめ多くの国々において、多くの人々の取り組みにより、再びアーユルヴェーダが広く知られるようになりました。

これは大変素晴らしいことですが、その一方、アーユルヴェーダは人々の関心を、少し偏りのある形で集めているように思います。

多くの人々のアーユルヴェーダに対する関心は、主に「身体の健康」や「代替医療・補完医療」という点にのみ向けられているのです。

これは一般の人々ではなく、大学や医療機関・研究機関等における専門家の間においても同様です。

 

「『私』が長生きするにはどうしたらよいのか、『私』が健康であるにはどうしたらよいのか」

 

人々の関心は、個人の身体の生理的な部分にばかり目が向けられています。

 

アーユルヴェーダとは本来、インドの伝統的な思想の根本にある「ヴェーダ」に含まれる「知識」のひとつです。

ここでいう「知識」とは、単に表面上の技術や情報・作用というものを指しているのではなく、私たちを取り巻くこの世界や自然の中において生きていく上での「生命観」といったようなものを意味しています。

 

私たちは、心と身体がひとつとなってはじめて生命として存在しますが、これらは、周囲の環境や自然との関わりから大きく影響を受けています。

私たちは、決して周囲の環境から切り離されたひとつの「個」としての生命ではなく、世界や自然の一部として生かされ存在しているのです。

 

そのため、私たちは個人の在り様にのみ関心を向けるのではなく、周囲の環境や自然との調和・共生についても常に意識して考えていく必要があります。

 

今のインドにおいてすら、こうしたアーユルヴェーダにおける「ヴェーダ」が抜け落ちた形で語られる場面が多く、「アーユル」、つまり身体の生理学的な部分のみが取り上げられています。

これはちょうど西洋医学における身体へのアプローチと同じような形になってしまっています。

 

アーユルヴェーダにおける「本質的な健康」とは「心と身体の調和」から生まれます。

心や意識の在り様が身体の状態に大きく影響を与えるのです。

心と身体の両方のバランスに意識を向けてこそ、アーユルヴェーダが説いている、本来の「健康」を甘受することができるのです。

 

インドのみならず、アーユルヴェーダの知識が徐々に復元され、こうした伝統的な意識や考えについての理解が得られるよう、一層の普及・促進に取り組んでいく必要性を感じます。

 

アーユルヴェーダライフ・コラム

 

医療としてのアーユルヴェーダ

医療としての観点からアーユルヴェーダをみてみると、その医学体系においては西洋医学と同じように、いつくかの分類にわけられます。

たとえば、西洋医学におけるいわゆる「内科」については、アーユルヴェーダでは「カーヤ・チキッツァー(Kaya Chikitsa)」と呼ばれる分類があります。

 

カーヤ・チキッツァーでは、内科学、診察・診断に関する知識があり、アーユルヴエーダでよく取り上げられる「脈診」など問診については、この分類に含まれ、脈の取り方、脈からの診断方法、脈診からわかる生理上の全て働き・身体の状態について等、実際の患者を診る際に求められる具体的な知識や技術についてが語られます。

 

外科である「シャーリャ・チキッツァー(Shalya Chikitsa)」においては、アーユルヴェーダにおける2大原典とされる「スシュルタ・サンヒター」に、その名が冠されている「スシュルタ」が有名です。

スシュルタは、数多くの外科手術の中で、凡そ500を超える手術器具を発明し、現在に繋がる西洋医学もその影響は強く受けていると考えられ、スシュルタは世界最古の外科医師といわれています。

 

またこの他にも、アーユルヴェーダには、小児科(Kaumarbhritya)、毒物学(Vrishya Tantra)、耳鼻咽喉科(Shalakya Tantra)、心理学・精神病学(Graha Chikitsa)、強壮医学(Rasayana Tantra)、強精学(Vajikara Tantra)、解剖学(Sharir Rachana)、生理学(Sharir Kriya)、婦人科(Stri Roga)、診断学(Nidana)といった分類の医学体系があります。

アーユルヴェーダの施術

 

アーユルヴェーダの盛んな南インド・ケララ州

 

南インド・ケララ州は、インド大陸の南西部に位置し、亜熱帯の温暖な気候にあります。

パーム椰子のジャングルとバックウォーターに囲まれた、緑と水の豊かなケララは、アーユルヴェーダの治療を行う環境として最適であるとされています。

 

南インド・ケララ州は、その西側に3000m級の山脈が聳え、その一地域帯がハーブ・薬草類の宝庫といわれます。

現代におけるインド北部のアーユルヴェーダでも、ハーブ・薬草類の多くは、インド南部から運んできたものを用いて行われます。

しかし、これらのハーブ・薬草類は輸送の関係から乾燥させたり、また梱包や保管等の様々な運送条件が要因となって、薬効効果がどうしても落ちてしまいます。

 

その一方、南インド・ケララ地方では、山脈地帯からの新鮮なハーブ・薬草類をそのまま使うことが出来ることから、地形・地理的側面からも、ハーブ・薬草類を主体とするアーユルヴェーダ治療が盛んに行われるようになりました。

 

南インドにおけるアーユルヴェーダとシッダ医学

 

南インドのタミル地方やケララ地方を中心とする地域においては、シッダ医学と呼ばれる、地域独自の伝統医学が存在します。

 

シッダ医学の歴史は、多くは師資相承(師から弟子へ受け継ぐ)の口伝によるもので、数少ない文献について、南インド・タミル地方における古代タミル語(ドラヴィダ語)で書かれた医学文献ものがありますが、読解には専門的な知識と理解が必要とされています。

 

シッダ医学の知識体系は、南インドに伝えられる「18人のシッダ(※シッダとは聖賢という意味があります)」によって編纂されたともいわれており、代表的なシッダは「アガスティア」であるとされています。

シッダ「アガスティア」は紀元前3000年頃に生きていたとされますが、この年代的な面は、シッダ医学の歴史や起源を議論する上で、根拠のひとつとしても考えられています。

 

このようなシッダ医学の歴史や起源について、アーリア人のインド渡来以前に遡るとされることから、アーユルヴェーダがこれらの古代ドラヴィダ文明の医学からの影響を受けていると考える説もありますが、これらは未だ議論が続けられているようです。

 

このシッダ医学とアーユルヴェーダにおいては、以下のような点で、似通っている部分も見受けられます。

・ヴァータ、ピッタ、カパなどの基本的な体質理論。

・養生法や食事法。

・病気の疾病分類など。

 

シッダ医学同様、スリランカにおいても古くから「ヘラ・ウェダカマ」と言われる地方固有の伝統医療が存在しており、こうした伝統文化や知識が色濃く残る、そして自然豊かな南インドやスリランカに、多くの人が関心を抱き魅了され続けています。

 

 

 

 

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