(シロダーラ・頭部滴油法)
シロダーラは、額の上に薬用オイルやミルクといった液体を静かに注ぐ、アーユルヴェーダにおけるパンチャカルマ療法のひとつです。
その名前の由来も、その療法の内容の通り、サンスクリット語の「シロ(頭)」「ダラ(流れる)」から来ています。
シロダーラで用いられる液体は、個人の体質や体調によって、薬用オイル、ミルク、バターミルク、ココナッツ水、あるいは普通の水など、様々です。
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シロダーラ治療は、アーユルヴェーダ医師によって処方されたハーブを調合した専用オイルを、連続して頭部に滴下していきます。
シロダーラは中枢神経の緊張を緩和させ、脳のリラクゼーションを促していきます。
日本におけるシロダーラは、オイルを額の一箇所に垂らし続けるように思われがちですが、実際には、額全体に万遍なくオイルを行き渡らせるよう、シロダーラ・ポットを揺らしながら行われます。
施術を受ける人は、シロダーラ施術用に特別に作られたテーブルの上に横たわり、頭が置かれている位置の上に、薬用オイルやミルク等の液体が入れられたシロダーラ・ポットが吊り下げられます。
シロダーラ・ポットは、オイルを滴らせるための芯の先が額の上から5cm程の高さになるように置かれ、ポットに開けられた小さな穴から芯を通ってオイルが静かに糸のように額に流されます。
滴り落ちたオイルは、シロダーラ・テーブルから集められて再びポットに注がれ、これを繰り返します。
シロダーラは通常、60~90分かけて行われ、施術後も数時間は静かに休息することを勧められます。
アーユルヴェーダ医療において、シロダーラは、不眠症や神経障害、眼・鼻・耳の様々な炎症疾患、頭・首・肩の痛みの軽減などに効果が期待できるとされています。
インドでは額に「第3の目」があるとされ、シロダーラによって額を刺激することで、精神を明瞭な状態に導くと同時に、潜在意識へ働きかけ、心の奥底の不安やストレスを解放することが出来ると考えられています。
オイルを用いたシロダーラにおいては、一般的に、ヴァータ体質はゴマ油、ピッタ体質はヒマワリ油あるいはココナッツ油、カファ体質はギー等がベースとして使われることがよいと言われています。
この他にも、牛の新鮮なミルク、またこれにサンダルウッドやベチバー、ショウガ、アロエなどを調合したものを用いるものや(ミルクダーラ)、バターミルク、あるいはこれにミルクダーラ同様にサンダルウッドやベチバー、甘草などを調合したものを用いるもの(バターミルクダーラ)、ココナッツ水などがあります。