ギータ・ピライ先生はマハトマガンディ大学を1991年に卒業し、22年間に及びアーユルヴェーダに携わっておられます。
ケララ州北部の病院にてそのキャリアをスタートされ、そこでの勤務が伝統的なアーユルヴェーダのドクター達に出会う機会となりました。
在任中、同僚のドクターたちと共にオランダのネーデルランドを訪れ、ヨーロッパにおけるアーユルヴェーダの普及活動に携わることとなりました。
そして帰国後の1995年にはコーチにあるケララ・アーユルヴェーダアカデミーに加わり、15年にわたり校長・共同コーディネーターとして活躍され、指導した生徒の数は1000人以上に及びます。
2010年にアーユルヴェーダアカデミーにおける在任期間を終えた後、ギータ先生は地域医療に貢献したいとのお考えからご自身のクリニックを開業され、グルグラ・システムを取り入れたアーユルヴェーダのトレーニングコースも開始されています。
今回のインタビューはインド・ケララ州にあるギータ先生のクリニックにて行わせていただきました。
(インタビュアー)
施術前に患者に行う問診における、先生のアプローチの仕方を教えていただけますか。
(ギータ先生)
私が初めて患者さんに合う時は、必ず最初にその人の私生活について詳しく話をお聞きします。
例えば、家族や恋愛関係について、あるいはこれまでの学歴や職歴など、本人の私生活に深く関わっている事柄についてです。
これを元に患者さんの人物像を描きます。
なぜこのようなことを最初に行うかというと、病気というのは、基本的に心因性のものであると考えているからです。
病気はそれらの要因が、肉体的あるいは精神的に表出したものと捉えています。
それ故、私は患者さんの身の周りのお話を真剣に聞くことを治療の基本としています。
事細かな問診を行った上で、私生活において問題がある場合など、それが健康にどのように影響を及ぼしているのか併せて分析することで、最良の治療法を提供することができると考えています。
また、いくつもの症状が同時に現れている患者さんに遭遇することもありますが、そういう時でも、どのドーシャとダートゥのバランスが崩れているのか等を細かく問診をさせて頂いて病状を把握し、自然由来の副作用の無いアーユルヴェーダ製品を用いて治療を行っていきます。
アーユルヴェーダは、身体の病気を治すことができるだけでなく、精神面での回復も期待できます。
要約すると、身体と心の両面からアプローチすることが私のアーユルヴェーダの治療法といえますね。
(インタビュアー)
ギータ先生のアーユルヴェーダに対するお考えと想いをお聞かせ頂けますか。
(ギータ先生)
私はケララ州北部のとある病院に勤め始めました。
1991年のことです。
幸運なことに、私はそこで伝統的なアーユルヴェーダの優れたドクター達と出会う機会に恵まれました。
実は、この出会いが私の人生を変えたのです。
その病院に勤め始めて以降、毎日彼らと共に働き、指導を受け、自らも多くの本や文献から知識を蓄えました。
ドクター達は皆80歳から90歳だったので、当時まだ若かった私を娘のようにかわいがってくれました。
そして、この時に私のアーユルヴェーダへの愛と情熱は生まれ、そして今もなおそれは変わっていません。
その愛と情熱は日々強くなっているほどです。
それからというもの、私はアーユルヴェーダに日々驚かされ、新しいことを学んでいます。
そして、アーユルヴェーダは人生で起こるすべての問題への解決策であり、母なる自然はすべての苦しみから解放してくれるものだと確信するに至っています。
アーユルヴェーダは、病気の治療を行うただの医療ではなく、人生すべてを扱う総合的な医療と言えるでしょう。
私たちは現代医学に頼るのではなく、アーユルヴェーダのような自然科学に立ち返るべきです。
近年、様々な問題が私たちの身体に起こるのは、自然から離れてしまったからではないでしょうか。
それ故にアーユルヴェーダに回帰することこそ私たちに今必要なことだと思います。
私のアーユルヴェーダへの情熱は多くの患者を治療することや、新たな病気から救うことの糧になっています。
(インタビュアー)
最近のクリニックに来られる患者さんの病気や相談にはどのようなものがありますか。
(ギータ先生)
近年の傾向で最も多いものは、やはり生活習慣病です。
生活習慣病は、主に社会的あるいは仕事上のストレスが原因となっていますが、それを紛らわせるために甘いものや高カロリーなものを過剰に摂取し、その結果肥満を引き起こします。
またこれらは、頭痛や不眠症にも悩まされる原因にもなりますね。
アーユルヴェーダでは身体面に限らず、精神的なストレスの問題に対しても多くのことが行えます。
人生をどのように生きるかというアドバイスを行うことが出来る医学であり、様々なアプローチで患者さんをリラックスさせてあげることができるのもアーユルヴェーダ診療の特徴でもあります。
私達はそれらを応用して、患者さんのストレスに関連する問題自体の解決策を提供することもあります。
以前、クリニックに不眠症に悩まされている女性が訪ねて来られたことがあります。
なぜ眠れないのか、私は詳細な問診を通して、症状の原因と考えられるものを見つけ出しました。
実は女性のご主人が、別の女性と関係を持っていたのです。
しかし女性は、家族のことを思い、そのことを自らの胸の内に秘めていました。
女性はその問題に関してご主人や子供達と話し合うこともできず、大きなストレスを抱えていました。
つまり、この問題が彼女の精神に多大なストレスをもたらし、頭痛や不眠症を引き起こしていたのです。
私達は女性に対してカウンセリングを行い、問題の根源が何かを把握したうえで、複数のハーブを調合し、快適な睡眠をとれるよう手助けを行いました。
その結果、十分な睡眠から肉体的にも楽になった女性は、抱えていた問題と向き合えるようになりました。
アーユルヴェーダで問題を解決することはできないかもしれませんが、それと向き合えるだけの精神的、肉体的な健康を手に入れることはできるのです。
女性も問題と向き合えるようになった結果、生活の質は以前より向上し、物事に向き合う姿勢も大変によくなりました。
カウンセリングと施術を組み合わせることで、患者に本当に必要な治療を提供することが可能となるのです。
(インタビュアー)
日本の皆さんへのメッセージをお願いします。
(ギータ先生)
アーユルヴェーダ診療以外では、私は人にアドバイスができるような立場にはありませんが、たとえばご提案を差し上げることはできます。
これは、日本の方々だけでなく、世界中の方々に対する提案です。
現代社会は日に日にストレス・フルなものになっています。
その結果数多くの肉体的、あるいは精神的な病気が出現しています。
特に若い世代の方がそういった病気に悩まされています。
昔に比べて、精神的にも肉体的にも弱くなっているのです。
それをどう解決するのか。
私は、かつてのようなライフ・スタイルに回帰するべきだと考えています。
もっと自然を身近に感じていた時代にです。
自然に立ち返ることが現代の病気を癒すことができる唯一の方法ではないでしょうか。
世界各地で破壊されている自然を守り、公害を防ぎ、農業を改革する。
そしてアーユルヴェーダをヘルスケアに取り入れる。
これが、健康な人生を送るための方法だと私は思うのです。
私はアーユルヴェーダを学んだことで、いかに自分が自然本来のものから遠ざかっていたのかわかりました。
そしてどれほど自然に対して、結局は人類自身に対してどれほど残酷なことをしてきたのかわかりました。
アーユルヴェーダは病気に対する治療だけではありません。
ライフスタイルに活力をもたらす、総合的な医療なのです。
皆さんにも是非一度、このような私達の生き方そのものを見直してみる機会を考えてみて頂けたらと思います。
(インタビュアー)
貴重なお時間を頂いてありがとうございました。
(ギータ先生)
ありがとうございました。
(取材協力)
エバーグリーントラベル
http://www.egkerala.com/
(エバーグリーントラベルについて)
|
エバーグリーントラベルは、南インド・ケララ州コーチン市にある、日本人による、日本人のための、日本人の心遣いをポリシーとした現地手配専門の旅行会社です。
日本国内にあまり知られていない南国の楽園・南インド/ケララ州の魅力を、現地在住の日本人スタッフが安心・安全に、そして丁寧にご紹介しています。
またエバーグリーントラベルでは、医療ツーリズムとして、インド伝承医学アーユルヴェーダの紹介に力を入れています。
インド・ケララ州現地におけるアーユルヴェーダ体験をはじめとし、医療機関が提供するアカデミーでのスクーリングなど、ニーズに応えたアユールヴェーダの適切な施設のご紹介、滞在手配を行っています。
(エバーグリーントラベル)
http://www.egkerala.com/
2F, Triveni courtt, K.P Vallon Road Cochin-20, Kerala, India
TEL: 03-4590-3041(日本時間・午後12時~21時迄)
メールアドレス:info@egkerala.com
|