インド・プネにてアーユルヴェーダクリニックを開業する傍ら、アシュタング大学(プネ)にてアーユルヴェーダ講師として学生に講義をする教師でもある、アーユルヴェーダ医師マノジ・チャウダリ先生にインタビューの機会をいただきました。
平日は大学の講義や公立病院でのインターン指導、クリニックでの診療など多忙な毎日を送られていますが、週末や祝日になると、遠隔地で病院にいけない人達のために訪問治療を行われ、自らの時間をみつけては患者さんのため、またアーユルヴェーダを学ばれる学生のためにと様々な活動に奮闘されている熱血なドクターでいらっしゃいます。
インタビューは、インド・プネのマノジ・チャウダリ先生のクリニックで行わせていただきました。
(インタビュアー)
アーユルヴェーダの伝承推進に大変熱心に取り組みをされているマノジ先生の、先ずはアーユルヴェーダに対するお考えや想いについてお話をお聞かせください。
(マノジ先生)
先ず、アーユルヴェーダ治療の目的は病状の表面的な改善ではなく、病気の原因の根本から治療を行うことです。
アーユルヴェーダにおいては、人体は世界の一部であるとされています。
世界の全てのものはパンチャ マハブータ(プルトゥヴィ/地、アーパ/水、テージャ/火、ヴァーユ/風、アカーシャ/空間)という5つの要素で構成されとしていますが、人体を構成するものも世界と同じようにパンチャ・マハ・ブータであると考えているのです。
またアーユルヴェーダでは人体を「ドーシャ」「ダハトゥ」「マラ」という仕組みを基本として描きます。
現代では、ドーシャは悪しき生活習慣や食習慣、環境汚染、品種改良食品の摂取などが原因で、これらのバランスに異常をきたすことが多く、私たちは特に重要視しています。
またドーシャのバランスは、ダハトゥ(体の主な7つの構成組織)やマラ(3つの老廃物・排泄物)にも大きく影響を与えます。
そのためほとんどのアーユルヴェーダ治療は、身体におけるドーシャのバランスを診ることを基本として行っています。
私たちが患者さんの診療を行う際、患者さんの体質、ドーシャの増減の状態、脈、舌、過去の治療歴、遺伝要素、精神的な状態などを先ずは確認します。
最近では、忙しい日常、食生活・生活習慣の誤った考え方、環境汚染、品種改良食品、ストレスによる心の妨げ・緊張などが原因となるドーシャのバランスの乱れが多いようです。
これらは、精神的な問題、心臓病、消化問題、皮膚の問題、不妊などの様々な問題の原因にもなります。
私たちは、アーユルヴェーダ医療とは、身体的な問題だけではなく、精神的な問題も含めて根本から治療を行うものであると考え、診療に務めています。
(インタビュアー)
最近のインドにおけるアーユルヴェーダ診療についてお話をお聞かせ頂けますか?。
(マノジ先生)
最近の病気の原因として、忙しい日常生活からくるインスタント食品等の摂取、増え続ける生活環境の汚染、仕事における不規則な勤務時間や高い目標達成を求められる職種・業務など、様々な要因からくる心身のストレスを増加させる方が非常に増えているように思います。
当然これらが起因となって発病するケースも多くなっているということですが、アーユルヴェーダにおいて健康とは、心も体も健康でなければなりません。
アーユルヴェーダでいう健康の定義とは「身体の健康」と「精神の健康」の2つに分かれます。
1. 身体的な健康とはドーシャ、アグニ(消化力)、ダハトゥ(体の構成組織)、マラ(老廃物・排泄物)が正しく機能しているということ。
2. 精神的な健康とはアートマ(個々の魂)、インドリヤ(知覚器官・行動器官)、マナ(心)が適切に機能しているということ。
アーユルヴェーダではこのように「身体の健康」と「精神の健康」が共に健康になることを大切にしており、常に病気の原因・根本を重要視しています。
ストレスからくる精神的な問題についても、ひいては身体的な健康の阻害に繋がるものと考え、アーユルヴェーダの治療では心身の総合的な健康状態の改善を図ります。
そのためには、自分自身の本来の姿・体質(プラクルティ:アーユルヴェーダにおける体質)を知ることも大切なことです。
これらのアーユルヴェーダの治療方針に基づいた生活習慣や食習慣の改善や適切なパンチャカルマ療法を行うことは、病気になっている人はもちろんのこと、健康である人にも予防医学の側面から大変役に立っています。
(インタビュアー)
最後にインタビューをご覧の日本の皆さんへメッセージをお願いします。
(マノジ先生)
最近の世界を見ていると、その流れが大きく変わってきているように思います。
今日、私達は過渡期にいると考えています。
日々一刻とあらゆる価値観が移り変わり、人々が生活に求める条件や内容も変わってきています。
その昔、人々は「医療システムは、薬や注射を用いて特定の病気の治療のためだけにある」と理解していました。
極端な言い方をすると、例えば「治療中にどのような食事に注意したら良いのか」との問いかけに「薬を飲んで病気を治しているのですから、あまり消化によくないものでなければ、何でも好きなものを食べて大丈夫ですよ!」というような答えが返ってくる時代だったのです。
それほどに西洋医学万能主義の風潮が広がっていたのではと思っています。
しかし、近年において代替医療に対する理解が深まり、その内容に対して見直され始めている状況では、従来の価値観もまた大きく変わりつつあります。
生活習慣病をはじめ、多くの病気が毎日の食生活や生活スタイルの乱れによって生まれ、そしてまたそれらの改善により治癒されていくものでもあるということも広く知られつつあります。
現在、多くの人々はダイエットや生活習慣に関する様々な情報を持っていますし、関連する病気を予防するための十分な知識もあります。
これらは、昔からの言い伝えでいうところの「転ばぬ先の杖」であり、いわゆるホリスティック医療に対する考え方としてもぴったりです。
今の人々はもっとたくさんのこうした「転ばぬ先の杖」についての方法を知りたいと望んでいるのです。
そうしたことから、アーユルヴェーダ自体は遠い昔からその考え方や療法等は何も変わってはいませんが、今の時代がアーユルヴェーダを見直し始めているのだと思います。
病気になってからの医療ではなく、そもそも病気にならないようにするための予防医療に対する理解が広がっていっているのだと思います。
アーユルヴェーダを生活の中で活用していく上で、一番大切なことは、まず自分を知ることです。
自らの体質や生活習慣をあらためて見直してみて、健康的な身体と精神の維持し続けていくことの大切さを再認識していただきたいと思っています。
(インタビュアー)
今日は貴重なお時間を頂いてありがとうございました。
(マノジ先生)
こちらこそありがとうございました。
(取材協力)
Nomadasia
http://www.nomadasia.net/
(ヴァギラティ・アーユルヴェーダセンターについて)
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(ヴァギラティ・アーユルヴェーダセンターについて)
ヴァギラティ・アーユルヴェーダセンターでは高度な専門知識を持つ医師とセラピストのチームにより、アーユルヴェーダの専門的な治療やトレーニング、研究活動を行っています。
またアーユルヴェーダの専門的なプログラム/マッサージ・トリートメント、パンチャカルマ療法、医療従事者のための研究・コンサルティング、各種トレーニング等のサービスも提供しています。
英国、ドイツ、ベネズエラ、日本、フランス等の国々から、当アーユルヴェーダセンターのトリートメントやトレーニングプログラムのために多くの人が訪れています。
(ヴァギラティ・アーユルヴェーダセンター|Bhagirathi Ayurveda Centre)
http://www.bhagirathiayurveda.com/
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(Nomadasiaについて)
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Nomadasiaはヴァギラティ・アーユルヴェーダセンター(ヴァギラティ医療法人)と事業提携し、インドで初めての「日本語で受けられるアーユルヴェーダ・コース」を行っています。
出来るだけ多くの方々にインド本場のアーユルヴェーダを学んでいただきたいと考えたことから、滞在費用を抑えることが可能なアットホームなホームステイ形式(ご希望によりホテル滞在も可能です)をお選びいただくことも可能です。
またこのホームステイ形式によって受講者の方はちょっとしたプチ・インド生活を体験することもできます。
コースの終了後には修了証書を発行、希望される方にはメールでのアフターサポートも行っています。
(Nomadasia)
http://www.nomadasia.net/
日本での連絡先:
東京都港区六本木4-8-7 7F、TEL 03-6864-8614(ノマダシア・田澤 宛)
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