予防医学、代替医療、生活の中の食事法(医食同源)・健康法(ヨガ・オイルマッサージ・瞑想など)で注目されるインド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダの情報サイト「アーユルヴェーダライフ」
アーユルヴェーダ・インド、スリランカ伝統医学|アーユルヴェーダライフ(Ayurveda Life)
「生命の科学」ともいわれるインド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダ。予防医学・代替医療にとどまらず、高度な生命哲学としても注目されています。アーユルヴェーダでは、食事法(医食同源)・健康法(ヨガ・瞑想)といった日常生活に関わる内容から、「生命」そのものについてまでが語られています。
アーユルヴェーダの季節のアドバイス「冬」
アーユルヴェーダの季節のアドバイス「冬」


1日の太陽が出ている時間も短くなり、寒さから外出するのもおっくうになってしまう「冬」。 屋内にいる時間も長くなるため陽の光を浴びる機会も少なくなり、運動不足にもなりがちです。
エアコンや暖房器具を使う頻度が高くなることから空気も乾燥し、乾燥肌や体調を崩す原因にもなっています。

アーユルヴェーダの先生からアーユルヴェーディックな生活を送る上でいただく季節のアドバイス「冬」は、日本在住のアーユルヴェーダ医師/アヌパマ・ダラシベ・アワケ先生にお話をお聞きしました。


アーユルヴェーダにおける季節の考え方「冬」

アーユルヴェーダの古典・チャラカサンヒターやスシュルタサンヒターにおいては、「ルトゥ・チャリア」という季節毎の生活スタイルや過ごし方に関するアドバイスが説かれています。

ルトゥ・チャリアでは季節は6つに定義され、それぞれの季節に応じた食事法や生活法が薦められており、それらに従った生活を過ごしていくことにより健康で長生きが出来るとアーユルヴェーダは教えてくれます。

これらアーユルヴェーダにおける6つの季節の定義は、以下の様に分けられています。



(アーユルヴェーダにおける6つの季節)

シシーラ・ルトゥ(2月・3月中旬)※冬
ヴァサンタ・ルトゥ(3月中旬・4月)※春
グリシュマ・ルトゥ(5月・6月)※夏
ワルシャ・ルトゥ(7月・8月)※雨季
シャラダ・ルトゥ(9月・10月・11月)※秋
へーマンタ・ルトゥ(12月・1月)※初冬

それぞれの季節の期間は大体2ヶ月ずつとなっています。

日本とインドでは季節の分かれ方が少し違っていて、日本では季節は四季に分けられ「冬」の期間が長く、「夏」と「雨季」も前後していますが、それぞれの季節がはじまるタイミング等にそれほど違いは無いかと思います。

アーユルヴェーダでは、それぞれの季節に応じて身体のエネルギー「ドーシャ」の増減も変わっていくと考えられており、たとえばヴァサンタ・ルトゥではカパ・ドーシャが、ワルシャ・ルトゥはヴァータ・ドーシャ、シャラダ・ルトゥではピッタ・ドーシャが増えてきます。



このような季節の移り変わりによるドーシャの増減は、アーユルヴェーダの治療にも影響します。
たとえばアーユルヴェーダの代表的な治療法としてパンチャカルマがありますが、パンチャカルマの処置内容は治療を行う季節に応じて少しずつ変わります。

もちろん患者さんの体調や病状によっても行う治療は変わりますが、それぞれ季節において行うことが薦められているパンチャカルマの療法は、アーユルヴェーダの一般的な考え方としてあるのです。


アーユルヴェーダのパンチャカルマは、大きく5つの処置法があります。

1. ヴァマナ=Vamana(催吐浄化法)
2. ヴィレチャナ=Virechana(下剤浄化療法)
3. バスティ=Vasti(浣腸療法)
4. ナスヤ=Nasya(点鼻療法)
5. ラクタモークシャ(瀉血法)

このうちヴァマナ(催吐浄化法)という処置は主にカファ・ドーシャを体外に排出することを目的としたものですが、カファ・ドーシャはヴァサンタ・ルトゥ(3月中旬・4月)、つまり春の季節に増加しますので、ヴァマナ(催吐浄化法)もその時期に行うことがよいと考えられています。
同じようにピッタの排出を目的としたヴィレチャナ(下剤浄化療法)はシャラダ・ルトゥ(9月・10月・11月)・秋の季節に行うことがよいとされています。

これらの2つの処置法以外は患者さんの病気の状態によりますが、ポイントはアーユルヴェーダの治療も行う季節によって異なってくるのだということですね。


アーユルヴェーダの季節における対処法「冬」


アーユルヴェーダにおける「冬」の季節というと、へーマンタ・ルトゥ(12月・1月)とシシーラ・ルトゥ(2月・3月中旬)にあたりますが、「冬」の季節はアーユルヴェーダ的には健康維持を行っていく上で最適な季節であるとされています。

これは、冬の季節には消化の火「アグニ」が一番よく燃える季節であり、つまり体内における消化や新陳代謝が盛んになる季節であると考えられているからです。
アーユルヴェーダの古典にも「冬の季節のアグニは『石』でも消化できる」と書かれています(笑)。


従って、基本的には「冬」は病気などに罹りにくい季節とされていますが、実際にはこの季節においては空気の乾燥や室外・室内の温度差が発生することで体調を崩される方も少なくありません。

冬の季節の乾燥による乾燥肌については個人差もありますが、近代的なエアコンなどの暖房機器による自然な状態ではない空調環境がかえって体調を崩してしまう原因となる場合もあります。

また、そのように冬なのに室内を温め過ぎてしまう状態から、最近では寒い季節でもレストランなどで氷水を飲んだりされる方もいます。
これらは自然の季節の状態に対応しようとしている身体にとっては、びっくりしてしまう状況にもなります。

自然の季節のリズムから外れた生活は、どうしても体調を崩しやすくなってしまう状態を生み出します。
私達の身体は、季節の移り変わりに応じた自然環境に合わせたライフスタイルを行っていくことで、最適な健康を維持し続けることができるようになっているのです。

さて、女性においては、冬の季節はアグニの活性化により身体の新陳代謝が促されることで、妊娠しやすい状態にもなります。
ですから妊活には、冬は最も適した季節と言えると思います。

(冬におすすめする食べ物)

冬におすすめする食べ物としては、先ずは温かくて出来立てのものですね。
それから、その季節のフルーツやあんまり辛くないもの。
伝統的な日本食(ご飯やお味噌汁、魚料理など)はお薦めします。

その一方で、トマト料理やチリソースを使ったもの、ファーストフードなどは控えた方が良いと思います。
特に唐辛子を使うような料理は避け、唐辛子の代わりに黒胡椒などのスパイスを使うと良いでしょう。
それから乾燥した食べ物、ドライフルーツ等もこの時期は避けた方が良いでしょう。

このへーマンタ・ルトゥの時期には、Snigdha(スニグダ)・油の性質で、Madhura(マドゥラ)・甘味とAmla(アムラ)・酸味の食べ物を摂った方が良いでしょう。



(アヌパマ先生のおすすめスイーツ「ラドゥ」)

この季節に自宅で作れるインドのおススメ・スイーツとして「ラドゥ」というお菓子があります。
ココナツ、アーモンド、ギー、砂糖で、ラドゥはこれらを使ってボール状に固めたスイーツです。
ご家庭で簡単に作れるので、アーユルヴェーディックなお菓子として是非おすすめします。


(ラドゥの材料・作り方)
アーモンド・・・粗く粉末に砕いたもの、1カップ。
ドライココナッツ・・・おろしたもの、1カップ。
ウェットデーツ(蜜ナツメ)・・・砕いたもの、2カップ。
ポピーシード・・・少々。
ジャガリー(椰子糖)・・・細かく砕いたもの、1カップ。
レーズン・・・1/2カップ。
ギー・・・必要に応じて。

※これらの材料は御徒町・大津屋様でも購入できるようです。
http://www.ohtsuya.com/

全部の材料をよく混ぜて、30グラム程を手に取って、ボール状のラドゥの形にして出来上がり。
乾燥した場所に保管すると、1ヶ月程はもちます。


シナモン
シナモン(Cinnamon)

別名:ニッキ、桂皮、ダルチニ(Darcini)
説明:世界最古のスパイスの1つといわれています。40度前後でもっとも香りが高くなり、砂糖とも相性が良く甘味を引きたたせるのでお菓子作りに使われます。樹皮からとれる精油には殺菌効果・活性作用があり、化粧品にも使用されます。

ショウガ
ショウガ(Ginger)

別名:生姜、ジンジャー、アドロック(Adrock)。
説明:香辛料としてだけではなく食材としても食べられています。生薬としても用いられ、発散、健胃、保温、解熱、消炎、鎮吐など多くの薬効があるとされ、日本でも、生姜は身体を温めて、免疫力を高めるため、風邪の療法によく用いられています。



(取材協力)
 トラディショナル アーユルヴェーダジャパン
 http://ayurveda-taj.com/
(トラディショナル アーユルヴェーダジャパンについて)
Traditional Ayurveda Japan(トラディショナル アーユルヴェーダジャパン)では、アーユルヴェーダの本場、ケララのアーユルヴェーダ病院や薬局、またアーユルヴェーダ医科大学からのサポートを受け、ケララの伝統と実践を受け継いだセラピスト養成と、日本人のためのアーユルヴェーダセミナーやワークショップ、アーユルヴェーダサロン運営、ボランティア活動、講師・セラピスト派遣などをおこなっております。

(トラディショナル アーユルヴェーダジャパン)
 http://ayurveda-taj.com/
 神奈川県藤沢市辻堂新町1-2-23プリメロ湘南601
 TEL 0466-37-3307




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