生まれついての体質「プラクリティ」 |
アーユルヴェーダライフ管理人 (2020年5月12日 15:00更新) |
アーユルヴェーダでは、身体の健康状態は、個々人の生まれついての体質「プラクリティ」に依るものとされています。
プラクリティは、生まれながらのドーシャのバランスを指しますが、これらのバランスは、生命誕生の折、父母の「受精」の段階で定められるといわれます。
具体的には、皮膚・血液・肉・脂肪・骨髄・心臓・両肺・肝臓・脾臓・胃・腸などは母親から、毛髪系・爪・歯・骨・脈管・精子などは父親から受け継ぐものと考えられています。
その一方で、人の精神面の状態は、「人は精神と身体がひとつとなってはじめて生命として存在する」というインド伝統思想に基づくアーユルヴェーダにおいては、精神に現れてくる様々な現象や症状、そしてその発生時期は、生まれてきた個々の生命固有のものであり、それらは生命が受肉する以前の「生」から受け継いできたもの、と考えるところがあります。
これらはインド哲学における「カルマ」思想に基づくものですが、過去幾たびかの「生」の期間に積み上げられた「行為」「思考」「欲望」が「ヴァーサナー(潜在的傾向・痕跡)」として精神に残り、次の生において「サンスカーラ(業)」として、個々人の生まれつきの性格や行動傾向を決定し、その精神のあり様もまた身体にも影響を与えるとされているのです。
こうした思想は、アーユルヴェーダにおいて健康を考えるとき、単に身体のバランスだけでなく、それぞれの人の人生の過ごし方やそれに伴う心(精神)の状態、つまり生命観そのものを含めた「命」への包括的なアプローチを行っていく、ひとつの理由になっています。
【コラム筆者】
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